白兎と雪狼の、果てなき旅路

ドライブやドライブや写真撮影を趣味とし、その他、HSPやAセクシャル、イジメ。精神的・心理的なことについて綴っていきます。

【車・価値観】汚れは、共に駆け抜けてきた証 ~久方振りの洗車を終えて~

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 早いもので、暦も9月に入りました。日暮れまでの時間も、体感を超えて目に見えて短くなりつつあります。

 つい数日前までは、西日がこれでもか、という程眩しく輝いていたのに。6時を過ぎれば薄暗くなり、一時間後には完全に夜へと変貌するようになる中。

 仕事終わりに久し振りの洗車をして汗を流しながら、夜9時前に思い立ったかのようにコーティングまで勢い任せに行って汗だくになっている、【やさぐれ紳士】白兎です。

 

 

 皆さん、こんばんは。如何お過ごしでしょうか。

 

 

 ここ数日、昼間帯の険しい暑さが嘘のように思える程、夕方には激しい雷を伴う雨に見舞われています。幸い災害には至らずに済んでおりますが、各所では数十年に一度とも言える大雨となる、と同じような文言がニュースで取り上げられています。

 何十年も前の天候を現代に照らし合わせて注意喚起されても、正直どうしようもないです。バケツを引っくり返したような雨と言われても、どんなものなのか想像もできません。

 

 ヒトや農作物、交通。強烈過ぎる雨は、様々な面で災いを齎します。それは、車にとっても例外ではありません。

 本日洗車した際も、ボディは雨粒のシミや砂埃に塗れて。ガラスは最早何の汚れなのかわからない程の汚れを被り、ワイパーが通らない場所は見るに耐えないものとなっていました。

 

 今回は会社帰りでも、愛車を綺麗にしたいと強く願う思いに刈られ、常闇に沈みゆく中洗車して。その後一段落して、コーティングを施した際に思ったことを。

 納車から四年経つ愛車の汚れは、共に駆け抜けてきた証の一つなのだと思い耽ったことについて、綴って参ります。

 

 

 

 

 

 汚れて輝きを失っていく愛車。天候と忙しさと気分を言い訳に放った一ヶ月

 

 止めどなく降り注ぐ雨。山を超えても、谷を駆け上がっても、トンネルを幾つも抜けても、雨は止みませんでした。

 伊豆の旅の帰路。強弱の差はあれど、晴れ間を拝むことは遂に叶わなかった、あの日。私と相棒は、小雨の中も台風のような嵐の中も駆け抜けました。

 バックミラー越しの後方確認はおろか、前方すら禄に視界を確保できない致命的状況。

 しかしながら、この時は旅に出る数日前に施工したコーティングが功を奏し、ボディもガラスも雨水を物ともせず跳ね飛ばしてくれました。

 車全体にを叩きつけるかのように、不安を煽るに煽る雨音と微かな衝撃も。視界を明瞭に保ってくれた、それだけで勇気づけられると共に、愛車の頼もしさを実感する瞬間でもありました。

 

 伊豆旅行を終えて、一ヶ月近くが経ちました。

 今の私は、自分でもよくわからない虚脱感と虚無感に支配されるように日々を過ごすようになっています。

 

 一つに、天候がまるで安定しないことが上がります。梅雨明けが8月上旬だったこともあり、お盆を過ぎて尚35℃を超える日が続きました。現在は落ち着いてきていますが、今度は台風の接近に伴い雨模様の日々、そして湿気に満ちた時間が確実に増えてきています。

 不安定な天気は、身体だけでなく精神も蝕みます。先日も雷の影響で私の務める会社の通信機器が破損し、緊急対応を行いました。昼夜逆転とも言える長い復旧作業により眠れなくなる日が一週間程続き、身体の怠さと精神の滅入り具合には泣かされるものがありました。

 

 仕事面でもコロナ禍の影響もあり遅々として進まない業務が多くなり、担当内も不和のような、張り詰めたような空気に満ちてきました。

 

 -まぁたイライラしてるな。嫌だねぇ、ホント-

 ……無理、ないよ。年々定年退職で皆いなくなっているのに、仕事は減らないんだから……

 

 顔は笑っているように見えるのに、声に朗らかさや快活さが感じられない周囲の人々。ストレスの捌け口が圧力的に減っていく今も状況では、無理がないのもわかります。

 私も、その一人だから。

 

 ……でも、したくもないのに他人の感情まで読み取る自分が、辛い……

 -無関心な方が、良かったのにな-

 

 追い打ちを掛けるように、8月に入ってから、長野でも猛烈な勢いで新型コロナウイルスの感染者数が増えてきています。この一ヶ月だけで、それまで鳴りを潜めていた感染が爆発的に広がっているかのような錯覚にさえ陥る勢いとなっています。つい先日200人を突破したと思った矢先に、既に二週間足らずで300人を超えようとしています。

 県内各地で集団感染が発表されていることから、出かける先も自然と少なくなり始め。9月に入り、すっかり仕事以外で外出する機会もめっきり減りつつあります。

 感染することを悪だと言い、過剰な誹謗中傷を行うことなど、最早無意味なことでしかないと思えてなりません。

 

 ここまで来てしまった以上、感染していないことを善などと、誰が言えるのでしょうか。

 

 天候、仕事の忙しさ、自分で勝手に追い込まれていく精神。

 その間にも雨に打たれ、砂埃を被っていく愛車は、本来の輝きを失っていきました。

 そんな相棒に向き合い、洗車へ行こうという意欲も浮かばずに来ていました。

 

 仕事帰りに乗り込む愛車の中では。私の口から漏れるのは、溜め息しかありませんでした。

 いつもの「帰ろう、Lupus」と厨二地味た言葉もなく。

 

 

 

 汚れるのは、仕方がない。だからと放っておいて良いのか

 

 

 シートカバーでもしていない限り、車を汚れから守る方法はありません。屋根付きの駐車場があれば大分違うのでしょうが、それも限られた人や条件でしか当てはまらないと思っています。

 それ故これまでなら、時間を見つけては愛車と洗車場へ行き、汚れを洗い流すと共にコーティングを施すことで輝きと撥水性を維持して参りました。

 

 洗車し、残った水滴を拭き取って。コーティング剤を塗布して更に磨き上げる時間。

 その時間は愛車と共に旅に出ている時間と、同じでした。愛車の窓、ボディに向き合い拭き上げを行い。水が侵入してしまうドア周りやエンジンルーム周り、給油口と細かい所まで拭いていると、いつの間にかこんなに汚れていたんだと苦笑いしながら汚れと共に水分を綺麗に拭って。

 そんな時は、普段の雑念やいらぬ心配事も忘れて、一心不乱に愛車と向き合っていました。

 

 また数日もすれば、結局汚れてしまうだろう。どれだけ丁寧にやろうがいまいが、最後はまた汚れ果てる。

 

 理屈ではその通りでしたが、実際に車と向かい合う気持ちは違っていました。

 とにかく、綺麗にしてあげたい。いつまでも、綺麗な愛車と共に走り抜けていきたい。

 

 その為に時間も手間も、お金も惜しむことはありませんでした。

 

 それが、いつの間にか妥協へと変わり。ここ最近では、見て見ぬふりへと意識が下降していくばかりでした。

 午前中は照りつけるような日差しが、愛車のボディを焼くように降り注ぐのに。帰社後に戻ると、薄っすらと水滴が付いている。

 朝は激烈な太陽、午後は微弱な雨。

 こうなると、車体に残った雨粒は残ったまま翌朝を迎えることとなります。その状態で太陽光を浴びると、水滴がレンズのような効果を振る舞うようになり、直射日光を収束させてボディやガラスへ膨大なダメージを齎すと共に汚れの原因となります。

 コーティング剤のお陰で多少は被害を免れることができますが、それも限定的。徐々にボディの皮膜を犯し続け、最後は塗装面に達し大きな傷跡を残すこととなってしまいます。

 

 そう。自然を前にした時、どれだけマメに洗車やコーティングを行っても、結局イタチごっこになってしまうことに気づいてしまったのです。

 

 それでも、そろそろ洗車したいな、と思って天気予報アプリを見たところで。

 雨、雨、雨に続く雨。

 

 日を増すごとに、気落ちと共に諦めと妥協という、私の悪い性格が顔を出し始めました。

 

 -もう、暫く諦めて大人しくしてろよ。無駄なんだから-

 

 全部天気のせいだと、仕事が忙しいからと、気が乗らないと言い訳するようになっていた、ある日。

 その日は、一日曇り空の予報でした。涼やかな風が靡き、翌日も猛暑に襲われることはないとの予報。

 風が幾分強くはありましたが、気温も低く陽光もない、洗車にはうってつけとも言える日でした。

 偶然か、帰社後に月極駐車場に止めている愛車を、その時は何故かマジマジと見ていました。

 

 -どうした、早く帰ろう。早くしないと混むぞ-

 ……嫌だ……

 

 自分の中で、久し振りに思いが激しく交錯するような、複雑な感情に刈られていました。

 

 -何言ってんだ、また雨が降るんだから無駄なこと-

 ……だって、こんなにLupusが汚れているんだよ?このまま放っておくなんて、もうできない……

 

 ドアを開け、風通しを良くする為に窓を全開にして車内の熱気を全て外へと逃します。サンシェードを外し、私は短く息を吐きました。

 

 ……無駄かもしれない。でも、やっぱり綺麗な愛車に乗っていたいよ。汚れたままの車に乗り続けるなんて、やっぱり我慢できない……

 -本気かよ、面倒臭ぇな-

 ……一緒に洗車してくれるよね?……

 -わかったよ。汚い車にいつまでも乗るのも、こっちだっていやだからな-

 

 アクセルを踏み、普段の帰り道から逸れながら。

 私は愛車と共に、馴染みと言える洗車場への道を走り始めていました。

 

 

 

 暑い夏の洗車に一時間。疲れ以上に感じる充足感

 

 とは言いつつ、基本的に面倒くさがりな私は自前でシャンプーを用意したり手洗いをする程マメな人間ではありません。車好きな方から言わせれば邪道と言われそうな気もしますが、洗車は基本的に機会式洗車機に突っ込み、汚れを落とします。

 ここからは、時間との勝負です。太陽光はないとは言え、残った水滴を拭き取り残してしまうとシミの原因となり、取り除く為には膨大な労力を必要とする為です。

 セルフ洗車場に置かれたタオルを用い、まずは窓から。私の住む地域の水はカルキ成分が多いせいか、少しの吹き漏れがあると白い跡が残ってしまいます。

 

 これまでの洗車で培った手順を、不器用ながらも素早く、自分なりに丁寧に。

 

 私の愛車であるアクセラは然程大きい車ではありませんが、一人で拭き取りにはそれなりの時間を要します。細かい所までやるとなると、最低でも30分掛かります。

 終盤で、やや強い風が吹く中でも、汗が流れ始めます。しかし、これで終わらせる訳にはいきません。

 

 次は雨水を弾き、紫外線をカットしてくれるコーティング剤の塗り込みに入ります。綿入が普段遣っているものは、プロスタッフ社のCCウォーターゴールドというコーティング剤で、ボディに直接吹き掛けてタオルで拭き取るだけでOKという簡易コーティング剤の一種です。

 耐久性はそこそこですが、施工直後の輝きや艶、撥水性はこれまで幾つか試してきたものの中でも上位に入ります。施工の手軽さも相俟って、個人が使うコーティング剤としてはかなりの性能を誇ると思っています。

 

 ガラスには塗布できないので、専用のものを使った後は、ひたすらコーティング剤を拭いて拭き取り。普段は手を付けづらいホイールも、念入りに。

 

 この作業だけで、同じく30分近くの時間を使います。その頃には体力のない私はグロッキー気味になり、汗も止まらなくなります。

 

 仕上げのひと拭きを終えて、完了。肩で息をしながら眺める愛車は、元々持つ色合いを取り戻りし輝いていました。

 明日も仕事、ということは最初からわかっていました。途中で雨が降り出したら無駄に終わることも、わかっていました。

 

 然れど、艶と輝きに満ちた愛車を見ただけで。

 

 一時間掛かった施工は、無駄ではなかったということを。

 仕事を終えて疲れているはずなのに。

 

 上手く言葉にできない、充足感のような、満足感のような。

 とにかく、曇り空には似合わないような晴れ渡った気持ちに満ち溢れ、私は帰路につきました。

 運転席で、膨大な汗を拭いながら。

 

 

 

 汚れた愛車は、共に駆け抜けてきた証だと思った瞬間

 

 

 炎天下に晒されたり、氷点下に耐える。時には豪雨をもろに浴びて、雹や霰に打ちひしがれることもある車たちは、人間ではとても生きられない環境でも、ひたすら耐え抜きます。

 しかも車は常に汚れに満ちる運命にあるように思えます。四季豊かな日本では花粉や黄砂、海辺では潮水。予想もつかない雨に晒されることも、強風で巻き上げられた砂埃に塗れることもあって。

 冬は事故防止の為とは言え、車に甚大な損害を与える塩化カルシウムの塩害を受けることとなります。

 

 車の持ち主の一人として、私はいつまでも綺麗な愛車でいて欲しいと願うと共に、そうする為ならどのような労力も時間も惜しまない覚悟をしているつもりです。

 

 しかし、私も気紛れな人間です。時には車に向き合うこともままならなくなることも、挙げ句には一日中車に乗らない日さえあります。

 これをエゴだ、と言われてしまえば、最早返す言葉はありません。

 

 とは言いつつ、元々インドアな私はこの数年で、本当に沢山の場所へと出向けるようになりました。

 その度に愛車は汚れ、時にはそのダメージ故にパーツ交換を余儀なくされたことも沢山あります。

 

 そうしてきたことで、今回洗車を終えて思うことがありました。

 

 車が汚れてしまうことは、避けられない。でも駐車場の差はあっても、乗り回さなければ必要以上に汚れることはないのではないのか。

 多くの場所へ趣き、走り回ってきたからこその、車の汚れ。これは、共に様々な場所を駆け抜けてきた証なのではないか、と。

 

 そう思った瞬間、洗車による疲れなど吹っ飛んでいました。そしてすぐ、各地を訪れた写真を眺めていました。

 

 納車されて四年。写真を見返せば見返す程、数え切れない場所へ。それ以前の私には道なる世界へと出向いていたことを、思い返すこととなりました。

 

 改めて、車は単なる道具ではないということを思い。ただの移動手段と考えることは、私にはできないことを実感しました。

 

 愛車Lupusは、ところどころ傷が残り始めています。悲しいことですが、避けられません。

 私の都合で面倒を見られなくて申し訳ないと思うと同時に。

 愛車が元気に走ることができる限り、私も全力を尽くす。

 

 共に駆け抜ける為に、私と愛車が共有する傷が増えるのなら、厭うことなどないと思うのでした。

 

 

 今回もご閲覧くださり、ありがとうございました。

 それでは、また次回まで。

 

 

 

 

 

 

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  これからもよろしく、相棒。