白兎と雪狼の、果てなき旅路

ドライブやドライブや写真撮影を趣味とし、その他、HSPやAセクシャル、イジメ。精神的・心理的なことについて綴っていきます。

【車・趣味】馴染みとなった、伊豆へ・一章 ~行く手を阻む大雨、忘れぬ運転への意識~

スポンサーリンク

 お盆も半ば、8月の頭までの大雨が嘘のように晴れ渡る日が続いていますね。

 各所で猛暑日を次々と観測し、夏の本番を思わせるような茹だる暑さ。盆休み返上で仕事へ行っておりましたが、駅から会社までの行き来だけで滝のような汗をかいてはフラフラになっております、【やさぐれ紳士】白兎です。

 

 

 皆さん、こんばんは。如何お過ごしでしょうか。

 

 

 先月7月。急に依頼された仕事を急ピッチで終えたり、意味もなく時間ばかりが過ぎていく会議に参加したり。

 何より休日にストレス発散目的で出かけることも叶わなくなったことに、苛立ちと虚無感を覚えてばかりでした。

 新型コロナウイルスの蔓延が自粛と自己防衛に拍車を掛け、自分で自分を戒め、自制に疲れていたのだと思います。

 

 去年までのように、愛車と一緒に駆け抜けたいな。

 

 好奇心と自衛心のジレンマに陥り、ブログに打ち込むこともできなくなり始めていた私は。衝動買いを繰り返すことでしか、己をコントロールすることができなくなっていました。

 

 そんな時、盟友からとある提案がありました。

 

 「こちらへ遊びにきますか」と。

 

 正直、結構悩みました。

 時期が時期だけに、他県へ行って良いものなのか。自粛警察や地元の方々に、他県から来た私を疎ましく見るのではないか。

 他県ナンバー狩りの魔の手が、愛車に襲いかかるかもしれない。

 

 それでも、私は「よろしくお願いします」と答えました。

 

 余りにも自分を抑えつける行為。喩え自分の気持ちのみならず、社会の動向に合わせる形での自制であっても、我慢の限界が来ていたのも事実でした。

 元々じっとしていることが苦手で、唯でさえエネルギーが有り余った状態のHSSの気質を持つ私には、様々な情報を取り入れ慄くHSPの気質を凌駕しているような状態。

 

 それだけでなく、新型コロナウイルスに感染すること自体は、私の中では最早仕方のないことだと考えつつありました。

 一方で自分はともかく、身内や会社にウイルスを持ち込むことは避けたい。

 

 正直に自分の気持ちに従って良いものか、悩みました。

 

 でも。

 行きたい。初めて行った時は遠い道程だったけど、いつの間にかすっかりお馴染となった伊豆へ。

 そしてそんな私を気兼ねなく誘ってくれた友に、会いに行きたい。

 

 誹謗中傷覚悟で、7月の25日から3日の予定で、久方振りとなる遠出へと出立するのでした。

 

 

 今回から数回に分けて、伊豆への旅路を綴っていきたいと思います。

 トラブルと束の間の高揚感に満ちた伊豆は、これまでにない初めての体験ばかりとなりました。

 初回となる今回は、その道中で遭遇した恐ろしい経験と。

 伊豆を訪れた時の感覚とこの度訪れた時との違いを、自分なりの成長と感じることができたことについて、お話しして参ります。

 

 

新たな装備と共に、いざ伊豆へ。



 

 

 

 

 

 

 無慈悲な雨と木漏れ日のような陽光

 

 当日、心療内科の診療と処方箋を受けた後、伊豆への旅路へ着くこととなりました。

 連休の半ばということもあり、混んでいることはある程度予想し、目的地であるホテルへの時間をナビアプリで計算した上で、休憩等を加味した上での時間は。

 おおよそ、四時間半から五時間弱。距離で言えばそれ程厳しいものではありませんでしたが、下道を通る関係上不確定情報が多かったこともあり、お昼前に長野を出立しました。

 途中、余裕があれば昼食をどこかのSAで摂るか、混んでいそうならコンビニ辺りで適当で済ませよう。

 

 甘く考えていた私の判断が、誤りの始まりでした。

 当日の天気は終始雨模様。しかも降水量も土砂降りを予期させていました。

 長野の地を出る前後は曇り空だったこともあり、これなら何とかなるかも……と考えていたのも、束の間でした。

 

 高速道路に乗り、いざ。その時でした。

 

 猛烈な大雨。

 近年では「バケツをひっくり返したような」だとか「数十年に一度」と呼ばれるようになって記憶に新しいです。

 

 そういう大雨、毎年来てますよね?

 

 愛車はレインセンサーワイパーという、センサーで読み取った雨の強度に応じてワイパーの早さを自動的に変更する機能が付いています。

 それがひっきりなしに、常にハイスピード状態。それでも、前が見えませんでした。

 降りしきる雨、前を行く車が跳ねた路上の水。飽和水蒸気量を超えて霧と化した一帯。

 実質、ホワイトアウトしているような状況と言っても過言ではありませんでした。方向感覚が麻痺するだけでなく、「自分がどこへ向かって進んでいるのか」がわからなくなる状況というものは、想像以上に恐ろしいものです。

 更に昼間帯ということもあって、目印になるのは淡い誘導灯とカーブの注意喚起を示す看板のみ。自分が走る道路を進行する車の視認さえ困難を極め、運転を司る私にできることと言えば。

 昼間帯ということで光量は十分と判断し機能しないオートライトを無視して主導でロービームを点灯させること、そしてスピードを控えること位しかありませんでした。

 

 このような時でも、「自分は見えているから」「自動なんだから、車に任せればいいだろう」とライトすら付けずに猛スピードで走り去っていく車もいる中、ハンドルをしっかり握り取られまいと歯を食いしばる私は思いました。

 

 何でも、機械任せにしたり自動化することに頼り切るのって、やっぱりいけないよな。

 

 幾ら便利になった世の中になったと言っても、機械に全部を委ねる……というのは、やはり私には同意しかねることです。

 専ら機械を相手にする職に就いているということもありますが、幾ら精密にできていて、どのような状況を想定しプログラムされたシステムであっても。誤作動や故障の可能性だけは、決して「0」にはできません。

 もしかしたら、整数に表せないほど細かく、小さな確率なのかもしれません。しかしそれでも、万が一その確率に当たるようなことがあった時。

 どんな被害が出るのか、どのような損害を被るのか、予想も尽きません。ましてや「機械の誤作動のせいです」なんて、とてもではありませんが理由や言い訳に出来るはずがない。

 安心や安全など、あり得ない。それは機械が確立するのではなく、操り使う私たち人間が作り上げるものなのだから。

 

 以前も述べた話を蒸し返すようなことになり、失礼いたしました。本編に戻ります。

 

 梅雨の延長を通り越して降り注ぐ雨は、容赦も慈悲もなく続きます。

 

 しかし富士山の麓を超え、山梨と静岡の県境に入った頃でした。

 大雨の中、休んだらもっと悲惨なことになると走り続け、流石に精神的にも腰痛的にもキツくなってきたと感じ立ち寄ったとあるPA。

 愛車から降りた私を待っていたのは。

 大雨を齎した黒い雲の合間から覗く、木漏れ日のような陽光でした。

 

 私は、晴れ渡った空よりも雨がしとしとと降り注ぐ天候が好きです。地面を、屋根を優しく小気味よく、穏やかに叩く雨の音と特有の匂いが、凝り固まった心に滲みるように感じるからです。

 

 然れどそこに至るまでの雨は、恐怖を思わせるものでした。一歩間違えれば、大事故にも大災害にも至る程の強力で、人間の存在などあまりに小さく感じさせる。自然の脅威とも、猛威とも言えるものでした。

 その最中、唐突ながらも緩やかに差した太陽の光を、サングラス越しで見上げた私は。

 

 太陽って、こんなに温かくて優しいんだっけ。

 

 そんな、子どものような考えと笑みを浮かべながら、紫煙を吹かしていました。

 

 

 

 

 雨にも負けず、自分にも負けず。そして降り立つ伊豆は、穏やかに満ちて

 

 

 ホッと息を吐き、気合を入れ直した私は、目的地へ向かって愛車を再び走らせました。

 前日に洗車を終えていたことも助けとなり、叩きつける雨も綺麗に弾いてくれたことも相俟って、精神的な負担を大分和らげてくれました。

 この調子で、一気に伊豆まで。

 

 その矢先。国道をひた走り新東名高速道路に乗ってから、悪夢のような出来事が起こりました。

 

 当時新東名の上り線の一車線は工事中で、恐らく水気を吸収し反射や滑りを防止する為に浸水性舗装に切り替える工事をしていました。これは真っ黒な見た目と一見ゴツゴツした見た目が特徴の路面で、雨が降っても雨水等を通すことで水たまりを作らないことを目的に開発された素材で、一般道路にも採用が広がっているものです。

 これによって車が高速で走るような道路で陥りやすい、ハイドロプレーニング現象という危険な状況を未然に防ぐようにしています。

 

 が、今回はその工事現場が却って仇となることとなりました。

 微妙に傾斜した工事車線が吸収しきれなかった雨水が走行車線に流れ込み、大きな水たまりを何箇所も、しかも連続で作っていたのです。

 そこに侵入する車が辿る末は……。

 路面とタイヤの間に水が入り込んで滑っていくような挙動をする、ハイドロプレーニング現象に見舞われることとなりました。

 

 雪国にお住まいの方はご存知かもしれませんが、雪が降った翌日に凍りついたり圧雪となった路面を走る時に滑ってしまい、ブレーキもハンドルも効かなくなってしまうことがあります。

 雪国や氷国(冬に雪は降らないが、気温が著しく下がることで路面が凍結しやすいところ)の人間ならすっかり慣れていても、それが夏場でも同じような状態に陥るのがハイドロプレーニング現象です。

 概略自体は知ってはいましたが、実際に体験するのとは全く違うものでした。

 ザバーっと水を跳ね上げながら水たまりを走る間だけ、ハンドルが固まったかのように全く動かすことができなくなり。驚く余りにブレーキを踏んでスピードを落とすこともできず、状況に身を委ねるしかない状態。

 車を運転する者として、愛車を駆る者として成す術もないまま無力感にひれ伏すしかない。そんな思いは、私の中で恐怖へと昇華していました。

 

 それを繰り返すこと、十数分。たかが十数分、然れど果てしなく長い時間、路面と陽気と闘っていたような気がしました。

 

 その時でした。

 

 伊豆の入り口である沼津に近づくにつれ、雨は止み始め、再び日が差し始めていました。

 恐怖に心折れそうになっていた私には、後光にも見える希望の光でした。

 異常事態から抜けられた私は、次第に余裕を取り戻していき。そこからは、これまで幾度となく訪れた場所までの道中を走り抜けていきました。

 いつも以上に。これまで以上に、気を引き締めながら。

 

 とは言いつつ、高低差の激しい道が瞬く間に変わりゆく伊豆の道は、寧ろ私に高揚感を齎しました。

 長野生まれである私ですが、場所によっては東京タワーとほぼ同じ標高から倍以上のところ。最も高い所では山よりも高い2000mを超える峠すらあり、高低差を行き交う道程には慣れているつもりです。

 しかしながら伊豆は長野以上に標高の移り変わりが激しく、海抜0地点から一気に400m近くまでを駆け抜けるような過酷な場所も沢山あります。

 そのような場所では長野と同じく、一気に駆け上がったり下ったりすることが難しいことから、様々な角度のヘアピンカーブが連続します。場合によっては180°展開するような所もあります。

 その山道とも海上からの急勾配とも呼べる道を、愛車とともに走り抜ける。その様は、地元の道を走っているような錯覚さえ感じさせるものです。

 

 初めて伊豆を訪れた時は、本当に「何だよこの道っ!?」「伊豆って平坦な場所だと思ってたのにぃ!!」と一人車内で泣き喚いていましたが。

 

 そのような恐れは鳴りを潜め、登りは愛車のディーゼルエンジンが齎すトルクとターボの力強さで十分過ぎる余裕を持って駆け上がって。

 下りは逆に、回転数を活かせないディーゼルの弱点を補うようにブレーキとエンジンブレーキのバランスを取りながら、下っていく。

 初めての伊豆は、ノーマル車同然であったこともあり車の特性と有り余る力に翻弄されていた私でした。

 

 車体購入金額と同額か、それ以上にチューニングし自分好みの乗り心地と動力指向に染めた愛車と共に駆ける伊豆の道は。

 それまでの鬱憤を忘れる程、夢中になれる時間を齎してくれました。

 

 勿論、巷で話題の煽り運転だけでなく。周りにまで自分の趣向を押し付けるような運転を抑えながら。

 前方車がスピードを控えているなら、距離を保ちながらハンドルから伝わる路面状況を楽しみながら。

 後続車が急ぐように距離を詰めてくるようなら、お先にどうぞと端に寄って先に行かせて、自分のペースを崩さないようにして。

 

 運転は、楽しむもの。決して車の性能任せに、他車を見下すような運転は、車のせいではなく運転者の問題である。

 車が悪いのではなく、それを制御し切れない運転者の技量や性格に問題があるのではないか。

 

 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。最近報道される車の問題は、まさにそれなんだろうな。

 

 そんなことを考えながら運転を堪能している内に、ホテルのある東伊豆に到着していました。

 

 海が目の前のそこは。海風も穏やかで、雨も止んで曇り空ではありましたが。

 穏やかな雰囲気だけが、どこまでも広がっていました。

 

 

 

 辿り着いたホテルの一室。安堵して眠ってしまって

 

 

  例年以上に長引いた梅雨の影響を受け、まさかの事態に遭遇することとなってしまった、伊豆への上陸。

 幸い早くホテルに入ることができた為、少し仮眠を取ることができました。

 

 仕事を何気なくこなしているだけでは味わえない、高揚感。その後に訪れる、満足さと疲弊感。

 忘れていたようで、身体が覚えていた感覚を久しぶりだと思うよりも。

 

 凝り固まった心と感情を揺り動かして止まない、言葉にできない思い。

 何だか、懐かしいなぁ。

 

 そんな思いと共に、持ち込んだPCの動画を流しながら。

 

 私は、いつの間にかうたた寝しているのでした。

 

 

 次回は仕事終わりの友と再会し、時間を忘れて話耽ったことと。

 その後初めてとなる写活について、綴る予定です。

 

 

 今回もご閲覧くださり、ありがとうございました。

 それでは、又次回まで。

 

 

 

相棒Lupusから、皆様へ。

 

 Lupus「白兎の長い語りグセのせいで、導入だけで5000字を超えてしまいました。どうかお許しを乞うと共に、お付き合いくだされば、幸いです」