【車・趣味】馴染みとなった、伊豆へ・二章 ~雑談に耽る初日、初の流し撮り~
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……暑い。35℃超えは長野生まれの人間には耐えられませぬ……。
暦上では確かに残暑ではありますが、遅い夏の訪れと呼称しても良いのでは。
そう思った瞬間、「あ、だから季節外れの暑さだから残暑なのか」と一人勝手に納得した、【やさぐれ紳士】白兎です。
皆さん、こんばんは。如何お過ごしでしょうか。
熱帯夜続きで睡眠不足、という方もいらっしゃることと思います。(私は元々睡眠は薬頼りなので、除外)
送り火も終わり、そろそろ秋ですねと申し上げたい所ではありますが、まだまだ暑さは続きそうです。
暑さ続きの中マスクをしなければならないという極限状態ではありますが、適宜マスクを外し水分を補うなどして、熱中症にも気を付けていきたいところですね。
ちなみに私は公共交通機関利用者ですが、開けたホームや駅から出た瞬間からマスクを外すようにしております。
マスク常用の為に熱中症となり、搬送されるようなことがあれば、それこそ本末転倒。こんなご時世だからこそ、場所や状況を自ら判断して自己防衛と感染防止を進めて行きたいものです。
さて今回も、前回の続きを綴って参ります。
全国各地で浸水や川の氾濫を齎し、大きな被害を出した大雨の中、伊豆に到着した私と愛車Lupus。
そこで待っていてくれた友との再会、翌日の写真活動について、私自身色々と初となるトラブルに見舞われた中。
成功の裏に密かに、しかししっかりと準備してくれた盟友のありがたさを主としながら、語っていきます。
伊豆の地で落ち合った友と語り、耽る夜
ホテルに着いて安堵したのか、私はいつの間にか意識を手放しておりました。
こういった時に見る夢に限って、大概ロクでもないものだったりします。
愛車と駆け抜けて来た伊豆の地で、何でイジメを受けていた時の記憶が再生されるんだろう。
当時の私を残して離れていった……いや、違うな。
離れていくよう彼らに見切りを付けて独りの道を歩き始めた。そう自分に誓ったのに。
こんな時だけ。
夢の中で仲良くしたり、笑ったり。肩をすくめながら、協力するように振る舞って。
まるで、いつまでも私という存在を見捨てないでと、言わないかのように。
夢は、夢。現実はそんなに甘くも、いつまでも思い出に浸っていられる程楽なものではない。そう理解して、切り捨てたはずなのに、いつまでも私の脳裏から離れない。
いい加減、目ぇ覚ませよ。私。
そう思って目覚め、紫煙を燻らせ始めてすぐでした。
住む場所も、歳も違う。それでも盟友と、親友と私を呼んでくれたたーぼぅさんから連絡が来たのは。
すっかり部屋着になっていた私は慌てて着替え、部屋でスタンバイすること、数十分も立たぬ間にホテルまで向けに来てくださいました。
お仕事後でお疲れなのに、私を迎えてくれたその顔は、変わらぬ温もりと柔和な笑みでした。
私は勝手に伊豆入りして草臥れていたのに。
どうして、そんな人を包むような笑みを浮かべられるのだろう。
これが、器の違いなのかもな。
そんな思いを胸に秘めて、合流した私たちは夕飯を共にしました。
その後は恒例のカラオケに……という訳にもいかず、カフェレストランで寛ぐというのも気が引けた為、宿泊するホテルでゆっくりお話しすることになりました。
先程の夢のことで、私が少し人恋しさのようなものを感じていたのだと思います。
そんな私の我儘にも嫌な顔ひとつせず、たーぼぅさんは応えてくださいました。
思えば去年までは色々な場所へ行って、その度に興奮と高揚感を味わって、飛び回ってばかりであったことに気が付きました。
部屋で、ゆっくりと会話の時間が流れました。
互いの仕事のこと、身体の調子のこと、趣味のこと。うかうかと出歩くことも厳しくなった、今のこと。
それぞれの思いや考えを、惜しむことなく話しました。
私は基本的に心のガードが堅く、自分の思ったことをすんなり外に出すことも苦手です。しっかり思いや考えを伝えられるのは、身内程度です。
会社では猫を被って愛想良くしているつもりですが、胸裏に浮かんでいることはまた別ものであることが多いです。
そんな私が思いを吐露できる人と出会えたのは、偶然でありながら奇跡的な出来事だったのだと、染み染み思いました。
時を忘れて語り耽っている内に、時計は日付が変わる手前の時間を示していました。
明日から、本格的に伊豆を楽しむ為にも、この日はお開きとなりました。
天気予報は、朝から雨模様。晴れ渡らなくていいから、せめて曇り空で留まってほしい。
そんなことを思いながら、ベッドに沈むのでした。
愛機のカメラにトラブル
翌朝、待ち合わせの時間よりも早く起きた私は、締め切っていた部屋のカーテンを開けました。
そこには、薄っすら雨が降った跡と共に。
雲の合間から、眩しい程の太陽が顔を覗かせていました。
これまでも、悪天候を幾度となく退けてきました。気持ちが昂ぶるような、心が跳ねるような心境でいる時は、天気予報を覆してくれる。今回も、その例外ではありませんでした。遠出した数はもう数え切れない程となりましたが、雨に見舞われたのは二度しかありません。
しかし、自分の晴れ男ぶりを自慢するよりも。晴れ女だった、今は亡き祖母に感謝するばかりです。
さて、合流を果たした私たちは早速行動を開始。
今回の目的の一つ、互いの愛車の流し撮りに挑戦です。
電車が走る路線と旧国道が並列数分間続く場所があるので、そこを狙って片方が車を運転、もう一人が電車に乗車して車を撮影する、という計画です。
静止したものを取ることは幾らでもできても、動くものをブレることなく撮影することは、慣れていないと難しいものです。私も真似したことがありましたが、互いに等速で移動していることが綺麗に撮影できる条件だったこともあり、困難を極めた記憶があります。
この写真は数年前、私の愛車を後輩君が運転する様子を取ったものです。この時は車の走行に合わせてカメラを動かし、流し撮り「もどき」のように仕上がったものです。
しかし今回は、本物の流し撮りに挑戦。時間も撮影できるチャンスにも限りがあった為、上手くいくかどうか不安と緊張で私は張り詰めていました。
そんな私に、カメラの先輩であるたーぼぅさんが事前講座を開いてくださり、大体の感覚とタイミングを頭に叩き込みイメージトレーニング。
その前に、電車までの時間があった為、互いの愛車が並んでいる所を撮りましょうということになりました。
いつものようにピントを合わせて、ガシャンとシャッターを切る。
その時でした。私が愛用しているカメラ、PENTAX K-70に異常が。
上の写真は過去、夜景撮りをしようとした際設定をミスして真っ黒クロスケになったものです。
これが昼間帯の明るい場所でシャッターを切っても、真っ黒な写真しか撮れなくなっていたのです。
何度シャッターを切っても、設定をあれこれ変えても、直りません。
昨日まで、こんなことなかったのに……。半泣きでその場で調べたところ、原因がすぐに判明しました。
PENTAXのカメラで比較的多く発生している、絞り制御部の不良というものでした。
現在のデジタル一眼レフカメラは絞り、シャッタースピード、ISO感度というという3つの要素の組み合わせで写真の出来が大きく変わります。どれも外界からの光をどれだけ取り入れるのかに関わるものですが原理そのものは異なっている為、この3つの設定をシチュエーションや被写体に合わせることで自然で機械的でない写真を撮ることができるようになります。
然れどデジタル一眼の三要素の一つである絞りの制御部がダメになったことで、設定の如何に拘らず常に光を最小限になるようになり。昼間でも真っ暗な写真しか撮れなくなってしまうという結果となっておりました。
折角、久し振りに写真を撮れる機会が来たのに。よりによって、こんな時に動作不良になるなんてっ……!
落胆する私に、友は優しい声を掛けてくれました。
「白兎さんも同じカメラを使っていますし、私のカメラを使ってください」
向かって左の黒いボディのカメラが、私の愛機。右のシルバーボディのカメラは、たーぼぅさんのカメラです。
本体もレンズも、同じものを使っています。
とは言え、流し撮り初挑戦の私がいきなりぶっつけ本番というのも気が引けるものがありました。愛機もダメになってしまったこともあり、すっかり意気消沈していました。
車と電車、双方に乗ることで織り成す一枚
そんなやり取りをしている内に、電車の時間が迫っていました。晴れ間も、何とか持ち堪えてくれていました。
まずは手慣れたたーぼぅさんが、私が運転するLupusを撮影することになりました。
一回目。
最初こそ電車と並ぶことができましたが、前方に規制速度を遥かに下回る速度で走る県外車に行く手を阻まれました。逸る思いとは裏腹に、電車はあっという間に姿を消して先を行きます。
結果、タイミングが合わずに失敗。普段はお店に恵まれたバイパスの方へ車が流れるとのことでしたが、運に見放される残念な結果に終わりました。
しかし、滅気ません。二回目に挑戦。
今度は私が発進させるタイミングが早過ぎた為、またも失敗。自分の失態だけでなく、空には雲が広がり始めていたことも重なって、心の中でべそかく思いになりかけていました。
やっぱり、ダメなのかな。
そこに、叱咤するように友の鼓舞する言葉が飛びました。
もう一回やって、それでもダメなら場所を変えましょう。
そうだ。まだ雨も降ってきていない。初めての挑戦が最初から上手くいく訳がないんだ。
やるだけやって、どうしようもなくなってから、初めて諦めろ。
可能性があるのに、簡単に諦めようとするな。
諦め癖がすっかり付いてしまった私に、再び火が灯りました。
ダメ元でも、次の一回で決めてやろうじゃないか。
良い開き直りと決意で表情を引き締め、三回目の撮影。
先頭車両を目標に、アクセルとブレーキを微調整。電車の速度に合わせるようにしながら、前方にも注意を配る。
偶然撮れた、草むらの中から飛び出た愛車。疾走感が迸る。
公道を駆け抜ける愛車と私。俯瞰視点だと、こんなにも躍動感が溢れるものなのか。
走り終え、駅から降りてきたたーぼぅさんに向かい駆け寄る私。
友の顔は、サムズアップと満足さに満ちた笑顔。
相棒を、こんなに綺麗に撮ってくださったことに感動に浸り言葉を失った私でしたが。
私だけが、この高揚感に浸っていてはなりません。今度は、親友の勇姿を収める番です。
しかしながら、私のカメラは今回は使用不能が確定していました。
流し撮りの前に了承を得ていたものの、幾ら慣れ親しんだカメラだと言えど、友人のカメラを易々と使っていいものなのだろうか……。
相も変わらず、私は優柔不断でした。
しかし、私と相棒を収めてくれたカメラを掲げなが。
たーぼぅさんはニッコリ笑いながら「大丈夫ですよ」とだけ言ってくれました。
その笑顔を裏切らないよう、私は友のカメラを握りました。
ありがとうございます、と言いながら。
先程の撮影で、互いに発進のタイミングや撮影できる場所は把握できていました。しかし、ここでまさかの弱い雨。
私が、手こずったから。傘を差しながら、落胆に浸る私は電車を待つ他ありませんでした。
それでも、電車に乗った時には気持ちが切り替わっていました。
友と、その相棒の勇姿を。今度は、私がしっかり収める。
一回目は電車のタイミングが完全に合わずに終わってしまいましたが、臨んだ二回目。雨は振りこそしましたが、空は明るく輝き始めていました。
たーぼぅさんの相棒、Camino de Esperanza(希望の道)の駆け抜ける様を。
マスクを着用した乗客が静かに座る中を藻掻くように。電車の揺れで転びそうになっても、カメラだけは必死に握り締めて。
不審者と思われても、変人と思われても。シャッターを切り続けて。
合流し、上手く撮れたかどうか不安な私は内心ドギマギしながら写真を見せた時。
喜びを隠すことなく笑みをくださった、友の顔。初めての挑戦で、ピントも疎らな写真でしたが、喜んでくれたその顔に、私も思わず顔を綻ばせながら。
この日泊まるホテルに向かい車を走らせ。
近くのカフェで昼食にし、私の好きなBEASTARSのレゴシの好物たまごサンドを頬張りながら、久しく味わう喜びと感動に浸りました。
その時、外を見ると。
通り雨が、夕立の如く激しく振りながら。
夏の伊豆の地を、冷やしていくのでした。
今回はここまでといたします。ご閲覧くださり、ありがとうございました。
それでは、また次回まで。