【車・趣味】今年最後の大旅行 ~十月桜と二度目のジェットフォイル~
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本日、今シーズン初となる氷点下二桁を観測しました。
私の住む地域から程近い菅平高原は、-20℃という想像もできないまでに冷え込む一日となりました。
日本国内において、最低気温を記録する野辺山高原、菅平高原、開田高原。
極寒地の三本指だけでなく、氷点下を連日叩き出してくる長野県ではありましたが。
近年気象異常により然程寒くならなくなったところから、いきなり襲い来るようになった今シーズンの冬。超極暖ヒートテックで内部から、こたつ・ガスストーブ・電気毛布の三種の神器で外側からもヌクヌク温まっている【やさぐれ紳士】白兎です。
皆さん、こんばんは。如何お過ごしでしょうか。
イヌたちと戯れるホテルで朝までぐっすり休むことができた私は、この日もブログ友であるたーぼぅさんにお世話になりながら、大旅行の続きを歩み始めるのでした。
今回は伊豆の名所を回りながら、人生二度目となる船旅を経て。
私が旅してきた中で二つ目となる離島、伊豆大島を巡った今年最後の旅を綴って参ります。
穏やかな伊豆に咲く、十月桜
目覚ましを前に目が覚めた私は、大きく伸びながらゆっくりと息を吐きました。
前日の疲れだけでなく、日頃積もりに積もったストレスや疲労が、一夜にして一気に溶けたような心地良い朝。多少の眠気は残っていたので、カーテンを一気に広げます。
眩むような陽光。全身を包むように温めるように、焦がすような陽の光が降り注いでいました。
宿のオーナーさんが喫煙を許可してくださったベランダに出て、紫煙を吐きながら眼下に広がる風景を見下ろすと。
昨日の曇り空や雨は、どこへやら。温もりに満ちた太陽と、それを反射する海。冬を目前にしても、南国の空気は私には暖かすぎる程でした。
海から流れてくる潮風も太陽の光も、小鳥の囀りも。
この季節では銀世界に覆われることもある山国生まれの私には、何もかもが心地好いものばかりでした。
チェックアウトギリギリまでのんびりと部屋で過ごし、宿を後にする時はオーナーさんの丁寧な挨拶と見送りまで受けながら、愛車へと乗り込みます。
甲斐犬たちと触れ合える、まるで家のような安心感と緩やかな雰囲気が漂う、今回お世話になったホテル。
次は、先代犬の跡を継ぐ新しいゴールデンレトリバーの子が来ることを願いながら、また利用したいと思うのでした。
さて、いよいよ旅の再開です。予め待ち合わせをしていた場所にて、たーぼぅと合流。立てていただいた計画に沿って、私たちは移動を開始します。
まず訪れたのは、大室山の麓に位置する桜公園。
標高580mと私の住む地元よりも低いながらも、海抜0から数キロで600m近く駆け上がることを考えると。伊豆が如何に起伏の激しい場所であるか、想像するのは容易いことを思い知らされます。
11月最後の三連休ということもあり、山頂へと向かうロープウェイは長蛇の列が出来上がっていましt。数年前とは言え、一度登った大室山ではなく向かった桜公園には。
4月と10月、年に二度咲く十月桜が儚くも可憐な花を咲かせていました。
中心は濃く、花弁は淡い桃色の桜。
寒さが覆いつつある伊豆半島の空気にも負けることなく、必死に、しかし立派な花びらを広げ咲き誇る桜たち。
数年前に、同じ伊豆の地で撮影会を行った河津桜とは色合いや勢いは控えめですが、同じ桜の仲間。
この桜公園では様々な種の桜が植えられ、ほぼ一年を通し桜を楽しむことができます。今回はこの時期に咲く十月桜の周囲を回って終わりましたが、一周するとなると小一時間は掛かる程度の広さのある、穏やかでゆっくりとした時間が流れる場でした。
が、私たちは次なる場所を目指し足早にその場を去ります。次に訪れた際は、もう少しゆっくりと歩きたいという思いを残しながら。
次に訪れたのは、お酒の販売店でした。
煙草の自販機やコカコーラの意匠を背にするベンチ。幼少期の頃を思い出させるような趣きの酒屋さんです。
数十年前、今は亡き祖父と共に出かけた際に立ち寄った自販機で、「?」のラベルが貼られた、ランダムで飲み物が出てくるものがありました。
当時の私は……5歳位だったかな。
祖父からお金を貰ってワクワクしながらボタンを押して出てきたのが。
ブラックコーヒー。
子ども心ながら飲めないものが出てきたガッカリ感を滲ませながら、泣く泣く祖父に缶コーヒーをぶっきらぼうにあげた。それを喜ぶ祖父の笑顔。
そんなほろ苦い……否。ただただ苦い思い出ですら蘇ったことはさて置いて。
こちらの酒屋さん、どうやらアニメにも登場する聖地となっているようです。
お店に入るや否や、所狭しと並んだそのアニメ関連のグッズ。この酒屋さんが登場する一面を切り取った、何枚もの画像写真が目に飛び込んできました。
……本当に、酒屋さん?と思いながら、私はお土産に名物の日本酒や焼酎、地ビールを買い漁り始めます。
他方でご一緒いただいたたーぼぅさんは、お店に勤める方が同級生とのことで、女将さんやオーナーさんと談笑していらっしゃいました。
たーぼぅさんとは、車を通して知り合って。オフ会だけでなく、個人レベルで車を走らせ楽しむプチオフに何度もご一緒させていただきました。私の中では知り合いを通り越し、今は友と認め合う、嬉しさと喜びを噛み締められる仲になったと思っています。
然れど。
地元で、昔からの付き合いや繋がりがあるだけで話が弾む姿を見た私は。
会計を済ませながら、少し嫉妬すると同時に。過去に、特に学生時代の。
かつて「友だち」と呼べる人間を全て切り、捨て去った私には。
自ら進んで捨ててきた癖に、交友関係を全て失った私には最早存在しない繋がりを垣間見たことで。
たーぼぅさんの持つ、対人能力の高さと人望のようなものが、何だか羨ましくなって。
私は、人として冷たくドライであることを再自覚するのでした。
この時はそんな詰まらない思いを飲み込んで、微笑を浮かべてやり過ごす狡猾な手段で乗り切りながら、心の中で溜め息を吐く自分がいました。
さて。そんなしみったれた、根腐りした思いは捨てて。
今この瞬間を楽しもうと、自分を叱咤した私は、友と共に次なる場所へと向かうことになりました。
が、しかし。
時間という制約が、私たちを容赦なく追い詰めていることに気付くのには、少し遅かったようです。
起動する音が心地好ささえ感じさせる、ジェットフォイル
というのも、前もって打ち合わせていた計画に支障を来す事態に遭遇しかけていました。
それは、伊豆という名が付けられながら住所は東京という不思議な離島である、伊豆大島。
その地に向かう為にジェットフォイルを予約してくださったのですが、出港地が熱海。三連休の最終日ということも重なり、下道は絶賛渋滞の嵐。車で行こうにも迂回路が存在せず、渋滞に特攻することは目に見えていました。
かと言って、電車ではギリギリ間に合うかどうかの瀬戸際。
悩む時間さえ惜しい中、私たちは電車で移動しつつ熱海の一つ手前の駅で降り、タクシーで熱海港を目指すのが最短と判断。
まさに時間との勝負といっても誇張ではない、ハラハラドキドキの時間でした。
結果的に、辛うじて拾えたタクシーの運転手の方(このご時世珍しい、マニュアル車を駆っていました)がベテランかつ地元を熟知していらっしゃり、最短ルートで送ってくださった甲斐もあり。
事前予約した出向便の出立30分前に熱海港に辿り着くことが出来ました。
予想以上に早く港へ降り立つことができた私たちは、乗り込む船を撮影する時間にも恵まれることとなりました。
群青色と白に塗装された、ジェットフォイル。熱海港は船乗り場近くでも緩いということもあり、比較的近場から船を撮ることができました。
こちらのジェットフォイル、たーぼぅさんの話によると先代が引退したことを契機に新造された機体であり、既存のジェットフォイルの中でも静粛性を始め洗練されているとのことでした。
しかしながら山国生まれにして山国育ちの私には船という存在そのものが新鮮であり、パッと見真新しく塗装されたように見える紺色が心を掴んで離すことはありませんでした。
出向時間が近付き。
海鳥たちが群がる、初島行きの旅客船を見送って。
いよいよ、私たちが乗り込むジェットフォイルの出立時間となりました。
たーぼぅさんの勧めで、愛機カメラである「PENTAX K-70」の録画モードを初めて使用し、ジェットフォイルの起動音から出向までを撮影しました。
同時に本ブログでは初となる、その一部を動画として上げさせていただきます。
船とは言え、航空機である旅客機と同格のガスタービンエンジンを搭載した本機の音は凄まじいものがあります。
ご視聴の際は音量を調整の上、ご覧ください。
動画冒頭に声が混じっていますが、これは昂ぶる感情を抑え切れなくなった私の声です。
単なる爆音でない、耳だけでなく、胸の奥を、心の奥底から震わせるような至高のエンジン音。
前回の佐渡ヶ島に向かう行きのジェットフォイルは、言い訳がましいかもしれませんが。
大勢の人々と前席に座す方が連れる小型犬のわめきが気になって聞き入ることは叶いませんでした。
今回は人も少なく、かつエンジンに近い座席を取ってくださったたーぼぅさんの粋な図らいにより、快音を堪能することができました。
人によっては単なる雑音とも、煩い音と思う方もいらっしゃるかと思います。
片や私は、HSPの、特に聴覚が敏感なこともあってか。
唐突の爆音ではなく、段階を経ながら最大出力まで唸り、吼えると例えられるその音は。
私には快音であり、気分と感情を高揚させるものでした。
これだけでなく、例えば新幹線や地下鉄のモーター音。車のエンジンが発する音や、排気音。
無機質ながらも、どうやら私はそういった音に惹かれ、心奪われることが多いことに気付かされました。
もしかしたら、ある種の音フェチなのかも……?
それはともかく。
最大時速84キロという、海上でありながら高速道路を走る車と同等以上の速度を叩き出しながら。
伊豆半島の遠目に、駆け抜けるようにして。
まだ見ぬ地、伊豆大島へと乗り込むのでした。
今回はここまでとさせていただきます。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは、また次回まで。
P.S
音フェチ、というものについて、興味深い文献を見つけ出しました。機会を見て、また記事にしたいと思います。