白兎と雪狼の、果てなき旅路

ドライブやドライブや写真撮影を趣味とし、その他、HSPやAセクシャル、イジメ。精神的・心理的なことについて綴っていきます。

【生き方・価値観】怒りの感情・後章 ~理性を手放した、その先~

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 6月に入り、学生の姿も多くなって参りました。休校が解除されたのか、小学生から高校生まで、皆笑顔と笑い声に満ちていました。

 私が学生の頃も、そうやって笑っていたのはいつの時までだったかな、と妙な感傷に浸った、白兎です。

 

 

 皆さん、こんばんは。如何お過ごしでしょうか。

 

 

 今回は、前記事の途中からとなる、怒りの感情について。

 それまで自分の内側に隠すように、無かったこととして閉じ込めてきた感情が、表舞台に顕在化した時のこと。

 怒りが弾けた自分が、普段では考えられないものと化してしまうこと。そしてそうなっている要因と引き金について、綴って参ります。

 

 

 ※注記※

 本記事は、汚らしい罵りや言葉に塗れます。

 不快さを催した方、それはおかしいだろうとお思いになった方は、問い合わせフォームよりご意見ください。問い合わせ内容によって、本ブログ運営者として記事を削除いたします。

 ご面倒とお手数おかけすることになることになるかもしれませんが、何卒ご容赦くだされば幸いです。

 ※注記終了※

 

 

 

 

 限界を超え、理性を手放した時

 

 

 学生時代を終え就職した私は。

 それまでの慣習に倣い、感情の処理を淡々と行い続けていました。

 

 学生時代半ばにして失うだけ失った私に。それ以上、無くしても悲しむようなものも、困るようなものもありませんでした。逆に言えば、得られるものも決して多いとは言えませんでした。

 全てはかつての幼い自分が考え、選び抜いた生き残る為の手段。何の疑問も不満も持つ機会もないまま、中身の無い人間として振る舞っていました。

 

 

 そして、その時は訪れました。

 

 普段は挨拶しても禄に返しもしなかった、定年間際の社員がいました。周りの評判を聞くに、相応の悪評が付き纏い、誰もが関わることを面倒がっていました。

 直接的に業務を共に行うようなことはありませんでしたが、年に一度だけ。その人窓口となり、依頼される形で職場全体が動いて遂行する業務がありました。

 社内システムやネットワーク機器を管理する私も、その例外ではありませんでした。

 

 しかし、どういう訳か。業務を開始しなければならない期間が間近に迫っても、何故か私には口頭や社内メールでの連絡もありませんでした。

 時を同じくしてバタつき始めた周りの上司や先輩に聞き入ったところ、メールでの依頼が来ているとのこと。しかも、発信されたのは数日以上前のことだったようです。

 

 何年も同じ業務をやっている為に、情報を出すのを忘れたのだろうか。

 

 真意はどうあれ、仕事は仕事。私も重なる仕事の合間を縫って、その業務を進めていきました。

 と言いつつ、一人では遂行するのは無理のある物量であったこともあり、各グループの総括者には協力依頼と情報共有は済ませていました。

 

 数日が過ぎたある日。業務開始までの時間を、雑談で潰していた時でした。

 その人が、何やら不満げに顔を歪ませながら歩いていました。向かってくる先は、私の机。

 これは、面倒事になりそうな予感がした私は、溜め息混じりに視線を外しました。

 その時でした。

「あの業務、どうなってるんだ?いつもやってることだろ、何の連絡も無いのはどういうことだ」

 面向かって怒り混じりの文句を飛ばされ、噛み付かれました。

 

 ん?何言ってんのこの人。

 

 相手の開口一番、不快さと理不尽さが私を支配しました。

 まるで使い物にならないゴミを見下すような目線。年に一度しか執り行われない業務を、忘れるお前がおかしいとでも言いたげな物言い。何の連絡も無いと言う貴方が、最初の情報共有をしていないのですが。

 

「どうなってるって聞いてるんだ」

 

 すぐにでも回答を欲しそうにする御仁を前に、曖昧に答えて話をこじらせるよりも、互いに状況を整理して非があれば認め合う方が健全だろうと判断していました。

 怒られることに慣れることはありませんでしたが、嫌われることには慣れていた私は。

 時間が就業時間前だったこともあり、「始業前なので、後でお話しを窺っても良いでしょうか」と言った途端。

 

 机を叩かれ、突然の怒号が響き渡りました。

「聞いてんのかお前!各グループの総括者に連絡したのか!それに俺に連絡しないなんてどういうつもりなんだ!?窓口は俺なんだぞ!」

 

 周りは「またあいつが無駄吠えしてる」と言っているかのように、各々が視線を外していました。

 しかし唯でさえ大きな音に敏感な私は、それだけで一気に不愉快さが増しただけで留まることはなく。

 気迫に怯えるどころか、理不尽に物言いに、敵意さえ湧き上がり始めていました。

 

 それが、人に物を頼む態度か。長年に渡る経験者様は随分とお偉いんだな。

 

 怒りや憎しみの感情が、どれだけ厄介で後を引くことを自分なりに知っていた私は。

 今まで内面に閉じ込めて、周りに出すことをしないように心掛けていました。

 そのタガが、今にも外れそうになっていることを感じた私は、盛大な溜め息と共に。

 一言だけ残し、身体が勝手に動いていました。

 

 「……場所、変えましょうよ。始業前ですから」

 「聞いてるのか!」

 「いいから、ここでは皆さんの迷惑になる」

 

 後に付くその人の怒りを背中に感じながら、担当のど真ん中でやり合うことだけはやりたくありませんでした。

 

 たった一人の為に、全員が不快な思いや嫌な感情に支配される位なら。

  標的である私が、全部受けてやる。

 

 そう思う私は、知らぬ間に。

 口の端が、釣り上がっていました。

 

 幾らでも責めればいいさ。文句があるなら言いたいだけ言えばいい。

 でもな。

 売られた喧嘩、買ってやる。

 

 その時の私は、決して感情任せに己を動かしてはいませんでした。

 怒りは破裂寸前なのに、頭は寧ろ血が引いて、冴えていくような感覚を抱いて。

 自分でも気味が悪い程、どんどん冷静になってくことを感じていました。

 

 場所を変えて、改めて対峙したその人と私。今にも手が出てきそうな相手よりも、私の口が先に動いていました。

 

「まず、業務連絡は口頭でもメールでも窺っていません。その時点でおかしいとは思わないのですか?人を責める前に、やることはあると思うのは私だけでしょうか。そして言われまでもなく、周りの統括者から話を聞き、既に協力の依頼と進捗管理の準備は完了しています。更に、貴方に連絡しろという話も聞いておりません。唐突に言われてもこちらが困ります。何か不都合でも?」

 

 気持ちが悪い程でした。

 いつも頭の中がグチャグチャで、何か言うにも時間を掛けて考え込んで、整理して。ようやく言葉が出てくる私が。

 相手の隙に付け入るように、いつの間にか自分なりに理屈を組み立てた言葉が、考えるよりも早く繰り出され続けていました。

  荒げることもなく言い終えた私の声は、冷水でも浴びたかのように冷え切って。物に当たることもなく言い終えた私が、その人……「敵」と見做した相手を見据える視線は。

 自然のまま狭まった視界は、恐らく目を細めて、まるで睨むようにしていたのだと思います。

 

 それが気に食わなかったのか、罵声は続きました。内容はうろ覚えですが、私も引く気はなく、冷徹さを失うことなく応戦し、ひたすら睨み付けるばかりでした。

 

 始業前の静寂をぶち壊した私と、最早文句しか言えなくなった老害の応酬。そこに、とある上司が止めに入りました。

「この件に関しては、白兎さんが先導してやっていますから」

 

 ……何故、こんな奴に謙る。その必要もないだろう、こいつには。

 

「なら俺は、何もしなくていいんだな?」

 どの口がほざく。一人だけ達観したような言葉並べて、調子良く逃げる気か。

 立場のある人からの言葉は受け入れるのか、卑怯者が。

 

「そうですそうです。だからこのことは任せてあげてください」

 何で、悪くもない人が。私以上に謙るようにして、謝っているんだ。

 おかしいだろ、こんなこと。

 

 それを聞いた御仁は、私を睨み付けながら引き下がって行きました。

 その姿勢に、思わず私は鼻で笑い、そして。

「謝罪もねぇのかよ」

 社内のほとんどの社員が聞こえる声を、残していました。

 

 直後、始業を知らせるアナウンスが流れ始めました。

 が、朝一で繰り広げられた言葉や罵りの応酬のせいなのか。それとも、普段苛立つことはあっても怒りの感情を全面に押し出して、遥かに年上の相手とやりあったせいなのか。

 職場の誰もが声を失ったかのように、静まり返っていることに気付いたのは、数瞬を置いて自分が戻ってきた時でした。

 

 また、周りに醜態を晒した。

 

 瞬時にそう感じた私は、「お騒がせして、申し訳ありませんでした。頭、冷やしてきます」とだけ言い残し。

 その場を去っていました。

 

 

 別人格とも言える、怒りを支配したもう一人の私の姿

 

 

  入室できる人間が限られた一室。椅子に腰を下ろした頃には、私は思わず片手で顔を覆っていました。

 

  あれは、本当に私だったのか? 

 

 まるで、人格そのものが入れ替わったかのような感覚。我慢に我慢を重ねた感情が破裂したかと思った瞬間に、どんどん血が引いて頭が冴え渡って、言葉を以て相手を制することに。

 快楽さえ覚えていた。

 冷静さを残しながら、冷め切った声で相手を嗜虐する、もう一人の私という存在。

 でも、我を忘れるような怒鳴り散らしたり暴れたりしない分、怒りを顕にした記憶も感覚も感情も、全て覚えていました。

 

 あれは、何だったんだろうか。

 

 戸惑って暫くして、開き直るようなこともなく。怒りによって変貌する姿も、私の一部分であると認めていました。

 過去にも、似たように感情の制御ができなった途端、冷静さを失わずに相手を攻め立てる場面が幾つかあったことを、思い出したからです。

 

 そのいづれも、苛々を募らせて気分を悪くすることとは、また別の怒りの表現方法であったこと。そして、豹変するかのような自分の怒りが発現する時の共通点を見つけるに至りました。 

 

 

 

 私の中の、我慢の限界

 

 

 私の場合、様々なことを通して気分を害して引き摺ることは沢山ありますが、それを声を荒げるような形で外部へ出すようなことはありません。

 後悔が後から襲い、自己嫌悪に陥るからです。

 自分が十割悪くて逆ギレしても、相手にどれだけ非があったと感じても、必ず「何で怒ったんだろう」などと自分を疑い、自分を嫌って。自分を責め続けてしまいます。

 それなら少しでも周りに迷惑が掛からないよう、怒りを発散したり鎮めるよりも早く飲み込んで、消化不良を起こしてでも我慢した方がマシだと考え続けていました。

 

 然れど、怒りの感情を吐けば吐く程冷静になり、相手の非を突き続けることが止まらなくなって。やがて、静かにキレて嗜虐的になっている自分に心地好ささえ覚えていく。そしてこのような時は頭が冴え切っていて、感情が静まった後でも後悔するようなことはありませんでした。

 まるでソシオパス(簡単に言うと、サイコパスの後天性のようなもの)のような一面を覗かせる時は、必ず条件があります。

 

 理不尽さに晒され続けた時です。

 

 先の会社の例も然り。

 他にも中学時代のイジメ被害の真っ最中でも、一方的に理不尽な言葉を投げつけられ続けた時、一度だけ感情を抑え切れなくなり周りを黙らせる程、冷徹に怒りをぶつけたことがあります。

 もう一つ、貰い事故を被った時でした。

 右折専用レーンに入った車両の横を通り過ぎようとした瞬間、何故か私の前に突然割り込んで来て、愛車の右フェンダーとホイールを思い切りぶつけられました。

 車を停めて相手に向かって行く時も、「どこ見て運転してるんですか!右折レーンから突っ込む馬鹿がどこにいるんですか!」と何故か敬語口調で。

 相手が「私が悪かったです」と非を認める言葉を零し、道に迷っていて周りを見ていなかったと弁明していましたが。

 それで済むとでも思っているのかと逆上することもなく。

 「いいから、警察呼びますから」と、感情がすっかり冷え切っていました。

 

 その後の責任割合で保険会社と連絡した際も、動いていようがいまいが、視界外から突っ込んでくる車両を避けることなんてできないこと。右折レーンに入っていたのに、何故車を当ててまで私の前に入ろうとしたのか理解不能な行動と言い。相手の運転は通行区分違反と進路妨害、場合によっては故意の幅寄せにもなると淡々と述べていました。

 

 エグい、やり過ぎと、思われましたでしょうか。

 

 ですが、私が本当に怒りを破裂させると、このように豹変してしまいます。それを治そうと思っても、恐らく治らないと思います。

 治そうというつもりも、ありません。そして、正当化するつもりもありません。

 私の、一部分であることに変わりはないのだから。

 

 

 今回もご閲覧くださり、ありがとうございました。

 それでは、また次回まで。 

 

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