白兎と雪狼の、果てなき旅路

ドライブやドライブや写真撮影を趣味とし、その他、HSPやAセクシャル、イジメ。精神的・心理的なことについて綴っていきます。

【車・趣味】まだ見ぬオオカミを目指して ~那須どうぶつ王国・その4~

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 ここ数日は思いを言葉にしたい感情がとても強くなっており、ブログの更新も捗っております。

 夏場はプライベートや仕事でやや追い詰められていた感もありましたが、こうして伸び伸びと。

 ブログを書かなければ。そういった強迫概念ではなく、純粋に文章を書ける喜びと嬉しさを噛み締めている、【やさぐれ紳士】白兎です。

 

 

 皆さん、こんばんは。如何お過ごしでしょうか。

 

 

 数多くの動物と出会ってきた、那須どうぶつ王国。

 今回はコロナ禍でありながら、イヌたちと触れ合う機会に恵まれ、理性と本能だけでなく。

 過去の記憶が、今でも私を縛り続けていることを知って軽蔑する中で。

 

 動物たちにも内心を見透かされたことを目の当たりにして、自分の中に今も広がる失望を食い千切るような思いで彼ら彼女らと向かい合えたことを、綴って参ります。

 

 

 

 触れ合うことが目的!ふれあいドッグパーク

 

 珍しい動物たちのラッシュを一先ず終え、制御が効かなくなり始めた脳を冷やす為に軽く一服を挟んで。

 再度、動き回るホッキョクオオカミたちをこの目で見ようと動き始めた私たちの目の前に、それはありました。

 

 ふれあいドッグパーク。

 名が呈す通り、イヌたちと触れ合い交流を深める区画でした。

 

 しかし、今も尚新型コロナウイルスとの闘いは終わりが見えずにいます。これまでも触れ合うことを目的とする動物園のコーナーも感染リスクを鑑みて、中止或いは限定的開放という場所を数多く見て参りました。

 ここもそうなのだろう……と私もたーぼぅさんも遠目で見ながら、思わず見過ごしすになりました。

 

 が、しかし。区画内にはイヌたちだけでなく、スタッフの方も、来園者の姿がチラホラと見えました。

 

 もしかして……?

 

 疑心暗鬼ながらも、入り口は消毒液がある程度で特に制限されている様子はありませんでした。

 簡易的な仕切りで区切られた敷地内には、沢山のイヌたちと来園された人々が入り交じるかのようにして。

 触ったり撫でたり、ベンチで寄り添う様子が広がっていました。

 

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 ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、サモエドと……見たことがない、大型犬?

 

 動物の中でも、特に犬科の動物が好きで推しでもある私には、願ってもいなかった光景でした。

 

 でも。

 触れ合いや触ること、触られることがあの日から苦手になり。すっかり怖くなってしまった私にとって、ある意味挑戦という側面もあるのでした。

 

 

 こんな時に限って、裏切られて捨てられた過去が蘇って

 

 

 私は生まれてこの方、ペットを飼ったことがありません。

 可愛かったり勇猛であったり、ありのままの姿を晒す動物たちを見ることは大好きです。

 ですが、仮に動物を飼うことを決めたとしても。

 私には最期まで面倒をみるという覚悟が持てないまま、ここまで生きてきてしまいました。

 

 生きとし生けるもの。いつまでも元気でいてくれればと思うのは、多分私たちヒトの驕りや勝手な思い。

 いづれ弱り、最期を看取るのが、動物を飼う為に必要な覚悟。私は恐らく、彼ら彼女らの最期を見届ける程、強くありません。

 親しみが湧けば湧くほど。愛情が深ければ深いほど、お別れは辛くなる。

 

 私には、それが何よりも怖い。

 同じ種族のヒトにさえ貶され、貶められたこともある私は。

 もう、失いたくない。喩えそれが別の種族の動物であっても。

 

 そんな思いもあってか、私は敷地内で自由に動き回るイヌたちにさえ手を伸ばせずにいました。

 触って見たい。撫でてみたい。

 

 でも、それで嫌われて吠えられたら。私は、また嫌われたことになる。

 いつも通りでいたつもり過ごしていたのに、時を境に異物扱いされて除け者にされた。

 

 こんな時にも、あの日の記憶が蘇るのか。なんて弱い生き物なんだ。

 私なんて。

 

 言葉に出さずも躊躇う私。一方で動物慣れしたたーぼぅさんは、一番大きなワンちゃんが座すベンチへと向かっていました。

 遅れないように、私も慌てて後を追いました。もう、怖いなんて言ってなどいられない。

 否、怖がってなんかいられない。自分で自分を鼓舞するように、ワンちゃんの横に座りました。

 

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 その子は、ニュージーランド・ハンタウェイという牧羊犬でした。最大で60センチ、体重は30キロにもなる大型犬。

 ボウ君と名付けられたその子は、ヒトが来ようが関係ないかのように、静かに伏せていました。

 

 おっかなびっくりで隣に座った私、しかしこの柔和でありながら遠くを見据える姿。

 貫禄、とは違う。懐の深さ、と言えば良いのかわかりませんが、吠えることもなく大人しく、優しい子。

 

 たーぼぅさんがその身体を撫でて、満足げな笑みを浮かべているのを見て真似しようとしました。

 しかし、やっぱり怖さが私の手を止めてしまいます。

 

 気付いてくださったのか、茶々を入れるように。

 「白兎さん、怖いの?」とたーぼぅさん。悪気などないことなんて、すぐにわかりました。

 言葉が出ず、子どものようにコクっと頷いた私。いい歳こいて何してんだか、と自分を責めていました。

 

 みっともない。情けない。意気地なし。

 

 

 撫でるだけでなく、触るのも、怖かった。でも、その身体は確かに温かった

 

 

 そこに、優しい声色のアドバイスが。

 「頭や項を優しく撫でるだけで良いんですよ。ネコと違ってゴワゴワした毛並みかもしれませんが、大丈夫。怖くなんてないですから」

 怖く、ない。

 

 そうだ。今は動物たちを拝めに来たんだ。推しのオオカミを、ホッキョクオオカミを。

 それだけじゃない。他の動物たちと触れ合いに来たんだ。

 

 昔の記憶は、確かに消えない。だけど今は、それが出てくる場面でじゃないだろう?

 私は。私は、本物の動物に触れたいんだ。

 

 過去の記憶と今この瞬間は、全然違う場面だろうがっ!昔と現在を、一緒にするな、私っ!

 

 緊張で溜まった唾を一気に飲み込み、それでも震える手でボウ君の身体に触れました。

 

 

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 微動だにせず、しかし彼は、優しい目で遠くを見ていました。

 恐る恐る、首から胴へを撫でます。

 彼の心臓の鼓動を感じながら。柔らかそうに見えた毛並みは、確かにゴワゴワした感触。然れど、確かな温もりに包まれていました。

 

 優しくて、温かい。

 

 「ね、大丈夫でしょ?」

 たーぼぅさんの声を聞いて現実に戻った私は。

 

 思わず「……うん」とだけ返すのでした。

 

 見るだけと、見て触って、触れ合うのとは違う。

 彼らも、私たちと同じようにこの世界に、同じ時間を生きている。

 そう実感した途端、一層愛おしさが堰を切ったように溢れ出ました。

 頭頂部から、マズル。両耳や胴の横と、手が勝手に動いていきます。

 

 私が警戒すれば、彼らも当然警戒し返すだろう。だから、私を支配しつつあった思いをできるだけ殺して。今できるだけの、不器用でもいいから、優しさを彼らに。

 そうして触れていく内に、私はすっかり詰まりかけた息も戻り、すっかり彼らの虜になっていました。

 思えば一番触らせてくれて。極僅かな方を除いて、ヒトを信じることを未だにできずにいる疑い深い私のような存在でも。

 身体も心も大きい、このボウ君でした。

 

 今回お相手してくれたボウ君以外にも。

 

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 サモエドスマイルで有名な、サモエドのアカネちゃん。あまりカメラを向けられることが嫌なのか、そっぽ向かれてばかりでしたが。

 

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 フワフワで真っ白な毛並みは、これまで見て終わって満足していましたが。

 極寒に耐えられるようしっかりとした、想像以上に硬い毛並み。私がビビっていたばかりに近寄ってくれることはありませんでしたが、想像と現実は余りに違うことを知れたことは私にとって大きなものでした。

 

 そして、もう一つ。

 イヌたちは、否動物たちは。

 私たちヒトの気持ちに敏感なのかもしれない、と思い至りました。

 警戒心や恐れが滲み出ていた私には、イヌたちも同じように近付くことも、寄ってくることもありませんでした。

 一方で動物慣れしていたりペットを飼われている人には、吸われるようにして寄り添っていた。それは、身構えることを知らない子どもたちが顕著でした。

 

 ヒトがどんな記憶や経験であっても、疑いや排他的な気持ちを抱いていれば。

 動物たちは機敏に反応して、同じようにこちらを疑うようにして、決して気を許しはしないことを、身を以て知りました。

 

 

 これを悟った瞬間、思わず天を仰いでしまいました。

 すっかり、見透かされてた。いつまでも現実に向き合えないなんて。何をしに来たんだよ、那須どうぶつ王国に。

 

 ダッセぇな、私。

 

 ふれあいドッグパークを出て、すぐの場所なのに。

 楽しそうにイヌたちに声を掛けるカップルや、子どもたちの声が、妙に遠く感じるのでした。

 

 

 

 今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 それでは、また次回まで。