【ケモノ・小説】Tails Intersecting ~あとがきと補足①~
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誕生日を迎え、また歳を一つ取りました。
学生の頃は1年がとてつもなく感じていたのに、25歳後半辺りから時の流れの速さを痛感し始めている、【やさぐれ紳士】白兎です。
皆さん、こんばんは。如何お過ごしでしょうか。
先日、短編と謳いながら14話にも及ぶ小説の連載を終えることが出来ました。この場をお借りして、御礼申し上げます。
執筆活動自体は高校の頃から行って参りましたが、公開するのはこれが初めてでした。
文章だけで情景や登場人物の思いを伝える難しさを痛感しただけに留まらず、想像以上に苦労の連続でした。
しかしながら、最終的には誰得な投稿となり、結局自己満足を満たすもの以外の何物でもありません。
が、私には大きな一歩を踏み出せたことに違いはなく、投稿作品の第一作を書き終えてのあとがきのようなものを、勝手ながら綴っていきたい所存です。
今回は本作品を執筆してきた上での解説や苦労点を並べながら、執筆を決意した経緯等について綴って行きたいと思います。
小説公開の決意
前書きにも書かせていただきましたが、小説の執筆そのものは十数年前から続けています。
メインはファンタジー、サブとして学園ものを綴っています。メインの方のファンタジーものは一度収束させましたが、読み直してあまりの表現の稚拙さを恥じ、最初から書き直し初めて久しいです。
本来執筆において重要なのは、物語の起承転結の骨組みをある程度明確にすることにあると考えています。骨組みが完成していないのに設定やら世界観といった肉付けを幾ら充実させても、簡単に崩れ去ってしまいます。建物と同じですね。
この失敗を、最初のファンタジー作品でやらかしました。
移気が激しい私は様々なものに影響されやすく、例えばあるアニメを見た後に「あ、この設定いいな」と思ったり。
世界観もある程度固まっていたのに、覆すとまでは行かないまでも「どのようにして、その世界は存在しているのか」といったことを行く内に、良いなと思った作品の設定を自分なりにアレンジを加えたり。
そんなこんなをしている内に、世界観から設定、登場人物の性格なども変わりに変わっていくというスパイラルに陥って参りました。
素人であり、かつ公開していないことを前提にしているからこのような愚行が許されるのかもしれません。
しかし自分が創る世界を作り直すということはあってはならない。
自分で創ったのだから、一度決めたことを変えることは自己否定とほぼ同意と考えています。
と言いながら、これも良いあれも良いとやっている内に。
当初の作品と比べても、今手にある作品の設定や世界観は大きく異るものが残る結果となりました。
その連鎖を断ち切りたかった。
何より、喩え誰かが読んでくれなかったとしても、自分というものを読み物として公表したかった。
そんな我儘から生まれたのが、本ブログで公開した「Tails Intersecting」です。
各話のサブタイトル
まず頭に浮かんだのは、本ブログで取り上げている私のテーマを登場人物たちに投影して表現したいという思いでした。
生まれ、育った家族関係、イジメ、差別。そのようなものを陰のテーマとしながら、登場人物である主人公たちケモノが肉食獣と草食獣という隔たりを感じながら生きている世界観を考えました。
これは多分に、BEASTARSの影響が大きいです。
作品を書くに辺り、主人公を二人にするという構想は始めから持っていました。
一人の視点から観る世界と、別の人物から観る世界の違いを表現したかった、という思いの強さが二大主人公制を選択させました。
一匹は、孤高に生きることを決意し貫き通してきた、中型肉食獣のホッキョクオオカミ。
もう一匹は、環境に適応しているように見せかけておきながら、周りに失望したことで溶け込むことをやめた草食獣のトムソンガゼル。
現在ではハラスメントに繋がる可能性がある為大きな声で言うことはできませんが、二匹はそれぞれ男女の差や力関係の差、生まれた時点で決定付けられた生き方を強制されることとなった全く異なる思想や思い、価値観や考え方を表現するという思惑で選びました。
当初はクラスから除け者扱いされたアラスカンマラミュートと、元々関わろうとする気のないホッキョクオオカミの予定でしたが、アラスカンマラミュートは別の役割を担って貰う形で主人公交代した、という経緯があります。
登場人物
ここで、「Tails Intersecting」に登場した人物(獣)をご紹介します。本来なら小説の冒頭にて説明すべき項目ですが、変遷に変遷を重ねた結果、当初考えていた以上に登場人物が増えてしまいました。
しかしその甲斐あって各獣に役割を持たせられ、役に徹する人物像や話し口調などを熟考することは、事実です。
箇条書きになりますが、ご紹介いたします。
・ホッキョクオオカミ
本作の主人公。肉食獣ながらも180センチに満たない中型の身体。膂力は大型獣には及ばないが、オオカミの血を引くその身体は俊敏性と小さめの体躯は柔軟性にも富む。争いは好まないが戦いではイヌ科最大の武器である顎の力に頼った噛み付きよりも足技と身のこなしの早さを活かす。
性格は争いをする位なら自ら身を引き、祭りごとのような騒ぎが嫌いなことも災いし知らぬ間に姿を消している。浮世離れしているその様はクラス一の変わり者と認識されているが、元々筋が通らないことを大いに嫌い、自らの生き方に触れる相手には容赦がない。怒る時は感情任せに怒鳴り散らさず、相手の非を次々と並べて論破していく冷徹で冷酷な一面を持つ。
オオカミの血を引きながらホッキョクオオカミという希少種故に全身が白い毛並みであることを毛嫌いされたり気持ち悪がられたことを契機に世の中との付き合いを自ら拒絶し、孤高で孤独に生きることも良しとしている。
・トムソンガゼル
もう一匹の主人公。代々ガゼルの血を次ぐ家系に生まれたが、母親のトムソンガゼルの遺伝子が強く出ており、家族からは血を汚した者と疎まれ、家族愛を知らないまま育った。母親以外の身内とは絶縁に近い状態。
草食獣という弱い存在だけでなく、家族からさえ疎まれる自分に生きる価値を見出だせないまま成長したことで、自己嫌悪の塊と化し、他の獣と話したり共にいる自分を想像することさえできず、これ以上自分を傷付けない無意識が勉学への道にのめり込むことを選ばせた。
母親を除いた獣とまともに向き合って話したことがないことからどう接すればいいのかわからず、何かと上から目線であったりわざと他者を遠ざけようとする物言いや言葉を用いる。
それは自分の昏い過去を垣間見られるようなことがないようにする、彼の弱さの裏返しでもある。
唯一存在を認めてくれる母親の「生きてさえいれば、必ず報われる時が来る」という言葉だけは常に信じ続けて、淡い期待と深い失望の両方を抱えながら生きている。
・アラスカンマラミュート
ホッキョクオオカミをも上回る体躯の持ち主である、大型に分類されるイヌ科。遥か昔にオオカミの遺伝子を操作され、理性を強化されたイヌ科である為頭の回転は物凄く良いが、性格的には理性よりも本能が先に出る。
遺伝子を弄られた惨めな存在、と過去にバカにされたことを深く妬んでおり、それらの記憶に触れることや自らの意志に背くような言葉に敏感に反応する。その為周りとの衝突が絶えない。
敵を作りやすい性格ではあるが一度認めた存在はいつまでも大切にしようとする義理堅い所もあり、そのような者が傷付くような場面に出くわすようなことがあれば身や言葉を呈して守ろうとする。
ホッキョクオオカミとは入学当初から意気投合する仲で、神出鬼没な彼をそこはかとなくフォローしされる関係。
・トラ
ベンガルトラよりも一回り小柄なアムールトラに分類される。獣全体から見れば大型種に入るが、同じトラでもより大きく強いベンガルトラに強い羨望を抱いている。
研ぎ澄まされた神経と本能からより強い者へと挑む姿勢が生まれてから強く、その度に僅差で負け続けてきた自分の生まれを呪いながらも、強くありたいという願いが強くあらねばならないという脅迫概念となって彼を支配している。
他の獣に対してもその意識は強く働き、常に高圧的で邪険に扱う嫌いがある。
・ハイイロオオカミ
イヌ科の中でも最大級の大きさを持ち、自分の強さと能力、そして血筋には誇りすら持っている。他の種族とは当たり障りのない対応をするが同族に対しては血族の誇りが邪魔をする形で同族嫌悪を生み出し、集団行動や統率を何よりも大切にするオオカミの中で彼一匹だけが孤立するという皮肉な結果を齎してきた。
その寂しさを見せないよう気丈に振る舞っているが、折り合いを付けるということを知らないまま生きてきたことで、特にイヌ科同士が仲良くしている場に出くわすと嫉妬に近い感情に支配される繊細さも併せ持っているが、彼はそれを認めようとしていない。
その思いの最中、一匹で孤高に振る舞うホッキョクオオカミのことを羨むと共に妬んでいた。
・柴犬
トラたちの仲間内では一番血の気の多い性格だが、身体は小型から中型の間に位置する程度の体躯しかないイヌ科。従順ではあるが口の悪さと手が出やすい性格から次第に見放され、逆に試される場面を幾度となく強要された過去を持つ。
同じイヌ科であるアラスカンマラミュートには一定の理解と歩み寄ろうとする姿勢を見せようとしているが、トラたちとつるむ関係上、これ以上見放されることを怖がってきた。その思いに従順さが重なったことで、トラたち仲間内の先鋒を担うように成り果てていた。
言葉の汚さはあっても持ち得る従順さは光るものがあり、一度認めた相手には尽くそうとする律儀さと不器用さの両面を持っている。
・ピューマ
メスライオンにそっくりな見た目を持つ。そのことを思春期にからかわれたことに激昂、相手を仕留める寸前の状態にまで追い込んだことがあり、過去から少年院送り手前となったことがあった。
その残忍さと容赦のなさから周りは離れていったが、ピューマ自身は寧ろそれを喜びと感じる程だった。
もっと自分を恐れろ、と。
その最中で出会った、同じネコ科でより大型のトラと血を流す戦いを経て、その強さと獰猛さに憧れる形で仲を深めた過去がある。
今でこそ過去の鳴りを潜めているが、柔らかげな物言いの裏では常に、血を求めている。
他にも多くの獣が出てきましたが、彼ら彼女らは、各々違う悩みや葛藤を抱いている設定にしています。そのわだかまりのようなものが、作品冒頭から終盤まで争いの火種と化し、平穏と共存を謳う学園内でも争いが絶えない要因にもなっています。
ここで紹介した獣たちは、この作品の構想時から思い浮かんでいたものです。
次は各話ごとに付けたサブタイトル等について触れていこうと思いますが、長くなりそうなので、一度切らせていただきます。
今回もご閲覧くださり、ありがとうございました。
それでは、また次回まで。