皆さん、おはようございます。如何お過ごしでしょうか
今回は、前回の伊豆クレイルの列車紀行を楽しんだ後の、メインイベントの2つ目。
これまで踏み入れたことのなかった、伊豆の西へ。
今度は愛車に乗り換えて、沈み行く夕日を追いかけるように駆け抜けた。
伊豆半島横断紀について、綴っていきたいと思います。
今回も写真が多めの記事となります。スマホで御覧の方は、読み込みに時間が掛かるかと思いますが、何卒ご容赦ください。
車幅一台半程しかない県道を、愛車と突き進む
西伊豆へ向かうに当たり、本当ならば互いの愛車と共に向かいたい気持ちは強くありました。
しかしながら、道中がそれなりに悪条件が揃っていることと、運転疲労による事故の可能性を危惧した結果。
友が駆るモーターと排気量でスムーズに加速することができるアクセラハイブリッドではなく、トルクを持って勾配を制することが可能なディーゼルエンジンを載せたアクセラスポーツで。
私の愛車で出向き、最悪の場合は運転を交代することで同意して。
まだ見ぬ西伊豆を目指し、伊豆半島横断の旅が始まりました。
西伊豆までの道のりは、時間で言えば約1時間半。余裕を持たせて約2時間。
出立した時刻は2時を過ぎていました。
順調に行けば、夕暮れ時に間に合う算段でした。
まずは県道12号に入り、それから国道136号へ合流する形で西を目指します。
しかし、早速試練とも言える難所が待ち構えていました。
県道12号は急勾配とキツイカーブが続く、まさに峠道と呼んで遜色ない道でした。
それ以上に驚いたのは、その道幅。
乗用車同士でさえすれ違うことができない、車一台と半分ほどしかない車道を。
県外車だけでなく、バスやダンプまで行き交うという修羅場と言える険しい道でした。
どうやらこの県道は、ナビでは西伊豆と東伊豆を行き交いするには最短経路と認識されいるそうです。
地元の方々やダンプといった運び屋さんといった、険しい道に慣れた人ならまだしも。
ナビを頼りに誤誘導された県外の方々は、半ば迷い込まされる形で県道12号線に入ってきてしまう、と友は言っていました。
その実、交通渋滞には慣れているであろう都会のナンバーを背負った乗用車と、次々にすれ違いました。
恐らく、急勾配や急カーブ、そして車一台がやっとの道を進むのは厳しいことであると思います。
前もって、「白兎さん、ちょっと狭くてキツイ道を走ることになりそうですが、行けますよね?」と、たーぼぅさんが念を押すかのように声を掛けてくれました。
それに対して、私は。
生まれ育った地元の勾配のキツイ道やヘアピンカーブを幾度となく走った経験と。
車という世界に飛び出して、様々な場所へ行き。
時には、未経験故に走ることがやっとで道中を楽しむことさえできずに終わったこともありましたが。
「亀さん(※注記1※)にならなければ、行けます」
と、頬を緩ませながら答えました。
※注記1 車高を落とした車がの腹が、線路のような段差につかえて身動きが取れなくなること。極端に車高を落とした車では、線路の段差やコンビニの入り口でも起こり得る※
険道とも書ける12号線を走り抜けて行く中で。
確かに、勾配やカーブはキツく、対向車に道を譲れるような待避所もない厳しい道路でした。
ですが。
私はハンドルを握りながら、「これは面白い道ですね。いやぁ、運転していて楽しい道だ」と笑っていました。
車に興味を持つ以前であれば。
とっくに車を走らせることさえ投げ捨てて、運転をお願いしていたと思っています。
然れど、その時の私は。
愛車を傷つける以上に、対向車や前方を走る車とかち合わないように慎重を期しながらも。
車を走らせる喜び、愉悦に浸る程で。
友と語り合いながら駆ける程度の余裕は、身に付けられていたのだと、省みています。
知らない間に、少しは成長、できたのかな。
そんな思いを潜めながら、県道を道なりに行く内に。
片側一車線の余裕ができる道に辿り着いていました。
「ここまで来れば、あとは道なりに行くだけです」
友の声に、安堵しながら。
「了解、ありがとうございます。では、行きますか」
道幅という制限が解除されたことで、更に高揚感が増した私は。
多少軽減されたとは言え、相変わらず勾配のある道を。
ディーゼルとターボの力を堪能するかのように、思い切りアクセルを踏み込みました。
1500ccという小排気量ながらも、愛車が生み出す加速力は、時として座席に身を食い込ませる程のGを生み出し。
隣の友も、愉悦とも驚きとも取れる歓喜の声を聞きながら。
私も、愛車が齎してくれる力強さにニヤリと笑って。
購入時の車体価格並にチューニング代をつぎ込んだ相棒と共に、西伊豆へ向かう脚を止めることはありません。
そして夕暮れは、確実に迫っています。
東から西へ横断した先に待っていた、冬と春
峠道を乗り越え、始めて西伊豆に乗り込んだ私たちを迎えたのは。
冬至から約3ヶ月、日も伸びて。
太陽は水平線より遥かに高い位置から、地上を照らしていました。
その日差しの強さと明るさは、冬を越えて春へと向かい始めていることを直感させるものでした。
しかし、その暑さや眩しさに心奪われる時間はありません。
途中あったコンビニに立ち寄って飲み物の補充と一服を早々に済ませ、目的地へ向かっていきます。
そして、到着したそこは。
黄金崎。
夕日と海を一望できる、まさに字の如く黄金郷を思わせる場所でした。
夕暮れが近い時間帯でしたが、駐車場はほぼ満車状態。愛車を、沈む夕日と共に撮影することを最終目標としていた私たちは、少しでも他車が少ない場所に車を停めて。
各々のカメラを手に取って。
初めて訪れた黄金郷えへと、足を進めるのでした。
強風吹き荒れる、黄金崎での写真活動
黄金崎は西伊豆の最西端に位置し、夕日を拝めるには絶好の場所でした。
条件が揃いさえすれば、富士山も撮影することができるという、まさに自然が織りなす幻想郷とも呼べる場所でした。
激しい波と海風によって削られたそこには。
※以下写真は、PENTAX 18-135mm 標準ズームレンズにて撮影※
「馬ロック」と呼ばれる、馬の頭から首筋に掛けてを形どったかのような、独特の奇岩が眼前に広がっていました。
今まで見たこともなかった、絶景とも奇異的とも見える光景に圧倒されるのも、束の間。
この日は、海からの風がとてつもなく強く、
カメラを保持する所か、直立していることがやっと言うほどにまで荒れていました。
でも、ここまできた以上。
二度と来ることはできないかもしれない、と覚悟のような決意を胸に。
冬と春を行き交う、激しいまでの自然を。
カメラに収めようと奮闘しました。
風に押されてブレる手を抑えるのが、本当にやっとのことでした。
激しく押し寄せる波が、岩肌に突き刺さり、
砕かんとばかりに、飲み込んでいく。
水の力は、そして自然の力は。
人間という矮小な存在では、とても計り知れない程にまで強くて。
凶悪で。
それでも、美しい。
そして、偶然撮れた一枚がこちら。
余りに強い波は、地上の私たちにまで水飛沫を齎して。
眼鏡やカメラのレンズを、たちまち潮塗れにしていました。
その中で、木の合間からシャッターを切った一枚は。
レンズに付着した潮と、気象条件が重なって。
偶然という一言では言い表せない程の、西伊豆の海岸を。
沈み行く太陽を、撮影することができました。
自然は、カメラで撮ろうとした一瞬一瞬で、たちまち姿を変えていきます。
その瞬間の度に、美しさや羨望を抱かせながらも。
自らの手で、物に出来た時の喜びと感動は、ひとしおです。
夕日を受ける、愛車の勇姿
展望台に立っての風景撮影は、時間を忘れさせる程引き込まれるものでした。
しかしながら、叩きつけるかのように吹き抜ける風や海風の冷たさは、体温を奪い、体力を奪っていきました。
限界を察した私たちは撤収し、駐車場で待つ相棒の元に向かいました。
黄金崎に夢中になる、数十分の間に。
相棒も潮風に打たれ、すっかり潮塗れになっておりました。
ここまで、私と友を乗せて。
全力を出してくれた相棒の勇姿を、カメラに収めていきます。
※以下、SIGMA 30mm F1.4単焦点レンズにて撮影※
ヘッドライトが煌めくように見えるかの如く撮影し。
シャープさを増々にして、油絵のようにしてみたり。
カメラを地面ギリギリに構えながら、やや見上げる角度に。
わざと垂直方向からずらしてみたり。
撮影する角度、被写体、収める全体像。
少しずつ変えるだけで、無限大とも言える相棒の写真を撮ることができました。
今回もナンバー隠し以外の目的で加工することなく、撮影した一枚一枚を一切弄ることなく上げています。
高価な機材を用いずとも、自分が「これだ!」と思った一枚を取れて。
それで満足できるのであれば。
私のような素人からすれば、それで十分幸せなことであると同時に。
思った構図を取れないことを、機材の性能を盾にして。
わざわざ高価なものに手を出す必要など、ないと思う瞬間でもありました。
さてさて、いよいよ風も駐車場にまで魔の手を伸ばし始め。
限界を悟った私たちは、急ぎその場を離れるのでした。
もっと、穏やかな陽気である日に来られるのであれば。
また、来てみたいな。
後ろ髪を引かれる思いを振りほどくかのように、帰路に向けて、愛車を走らせるのでした。
帰路に着く私たちの道中で。
西伊豆を代表とする、堂ヶ島付近を通りかかりました。
折角なので、沈み行く夕日を背景に。
写真では穏やかに見える堂ヶ島ですが。
ここでも、海風は収まることを知らず、地上に立つ我々を薙ぎ払わんとばかりに吹き付け続けていました。
静けさとおおらかさを垣間見えながら。
季節はまだ、冬と春がせめぎ合うかのような激烈さを、私たち人間に齎していました。
堂ヶ島撮影も、僅か十数分滞在するのが限界でした。
戦術的撤退を余儀なくされた私たちは、来た道と別ルートを辿りながら、帰路に着くのでした。
しかし、夜の帳が下りても。
ゆきゆきて、町の灯りは消えぬまま。
伊豆横断旅行は、夜にまで続いていきます。
今回もご閲覧くださり、ありがとうございました。
それでは、また次回まで。