【車】冬の道路に潜む危険 ~最後は、運転する人間次第~
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3月も半ばを過ぎ、東京では桜の開花されたようです。
冬らしい冬を感じずに終わってしまうかと思っていましたが、世の中そんなに甘くない現実を目の当たりにして参りました、白兎です。
皆さん、こんばんは。如何お過ごしでしょうか。
これまでは私が持つ思いや考えを主として綴ってきました、本ブログですが。
忙しさと余裕の無さから、すっかりお預けとなってしまって久しい、愛車と共に旅に出て参りました。
その道中。
今シーズン、鳴りを潜めていた吹雪と大雨に見舞われ、それ故に危うく事故になりかけました。
冬の道には慣れている、という自負が。
過信でしかなかったことを痛感いたしました。
今回は冬における道路を車で走ること。
雪国、基氷国に住む私から見た、冬季における車の挙動や扱い方だけでなく。
これまで幾度も体験してきた、冬の路面において実際に車が滑ったり立ち往生してしまうことで車が動かせなくなる怖さについて、実体験を交えながらお話ししていければと思います。
車における冬装備
私の住む地域は、基本的にあまり雪は降りません。
山々に囲まれている為、それらに阻まれて降雪し終えた冷たい空気が冬と訪れを感じさせる、そんな場所です。
そして盆地という地形も重なり、夜は星々が煌めく程の快晴になることが多く、寒い時は氷点下二桁台に落ちることもあります。
その結果。
たった少しの降雪や霜が降りたら最後、永久凍土と化し。
道路は濡れているだけかのように見える、ブラックアイスバーンや溶けかけのシャーベット状の雪塗れになります。
徒歩や自転車のみならず、車がなければまともに生活さえままならない私の地域は、それらの移動手段に危険性と制約が課されます。
ここで、一つ例えを上げさせていただきます。
冬季に入り始める、10月下旬辺り。
テレビではスタッドレスタイヤのCMが流れる始め、実際に御覧になった方は多いと思います。
その内容は、氷上や積雪路面で車が急ブレーキを踏んでも「ギュッ」と止まることを強調するような演出が大半を占め。
凍った路面でも安心できる、という性能を売りにしているかのように見えます。
しかし、スキーやスノーボードを趣味として。
スキー場のある雪道や凍った山道を、実際に車で走ったことがある方は、ご承知おきのことかもしれませんが。
走り始めの時のような低速ならまだしも。
積雪上や氷上でブレーキ(制動とも言います)しても止まることは、ほぼ不可能です。
少し専門的な話になりますが、車の直進方向、つまり車を正面から見て縦方向への動きに対してはある程度制御は可能です。
アクセルを踏むことで進んだり、ブレーキを踏んで止まることができるのは、道路と直接接しているタイヤの摩擦力が十分である為です。
先述したスタッドレスのCMでの演出状況は、完全に凍結仕切った氷上です。
いかにも滑りそうな状況に見えますが、その実は。
完全に氷と化したものは摩擦力から見れば想像以上に低くなく、制御を失って止まらなくなることはありません。
滑る時は滑ってしまう、冬の道路
仮に雪が降った場合。
子供の頃、長靴でフワフワな新雪を「ギュッ、ギュッ」と踏みしめて歩いたことがある経験がある方は、雪を靴裏踏んだ時に「抵抗感」をといった感覚を覚えていらっしゃるかもしれません。
車にも、同じことが言えます。
降りたての雪は、いかにも滑りそうな印象を抱きがちになりますが。
実はカチコチに凍った氷上以上に、抵抗力。つまり摩擦力があります。
結果的に、車のタイヤとの摩擦力が確保される為、怖いと思うかもしれませんが、滑ることはまずありません。
問題なのは、そういった雪が車によって踏み固まれて、圧雪状態になっている時。
或いはアイスバーンのように、ひと目では凍っているのか濡れているのかわからないような路上を走るような時です。
圧雪やアイスバーンのといった路面の表面は、人の目では見ることのできない「水の膜」で覆われている状態となっています。
この状態の道路が、冬場において一番危険です。
そのような路面は、雨天時を凌駕して。
終日氷点下に見舞われ、完全に氷と化した路面が可愛いと思える程、摩擦力が限りなく低くなります。
摩擦力がなくなった路面を通過する時のタイヤは、想像を遥かに超えて摩擦力を失い、想像以上に滑りやすくなります。
その結果、例年豪雪に見舞われたり、雪は降らずとも氷点下の日が続くことで、同路面凍結してしまう地域でも。
或いは、普段雪や氷に覆われることのない温暖な地域においても。
一度滑ったら最後。
制御を失った車が単独事故、衝突事故、玉突き事故や渋滞が発生に繋がってしまいます。
車の冬装備をしっかり装備していても、どれだけ気を付けていても、冬の路面は危険であることに変わりはありません。
しかし、それ以上に。
スタッドレスタイヤを履いているから、大丈夫。
或いは、自分の車が4WD(四輪駆動、four-wheel drive)であるから、滑ったりすることはないだろう。
タイヤや車の性能に、「安心・安全」を預けてしまった、心の隙。
そのようなものが、事故やトラブルが引き起こす大きな要因であると、個人的に思えてなりません。
スタッドレスタイヤ、4WD・AWDといったものは、専門的かつわかりやすく説明しているサイトが沢山ありますので、本記事では省略させていただきます。
一度滑り始めた車が行く末路
首都圏を始めとする、あまり雪の降らない地帯で、数センチでも降雪した時。
歩いている時に滑って転んでしまった。
周りの視線を浴びることの恥ずかしさを味わうと同時に、思い切り打ち付けてしまった膝やお尻の激痛で「もう、嫌だ!」と思ったことは、ありますでしょうか。
それで済めば良いのですが、万が一、打ち所は悪ければ。
骨を折ってしまうことも。
最悪の場合は、死に至ることさえあります。
滑る怖さは、意外と身近な場所に潜んでいます。
これを車に置き換えた場合、事態はより深刻になります。
一例として、信号待ち等により、上り坂で停車した状態から発進しようとした場合。
その状態からアクセルを踏み込んで、エンジンから生まれる運動力を、タイヤの回転力としていく過程において。
道路と唯一接し、エンジンを始めとした様々な力を伝えるタイヤが、摩擦力を失った瞬間。
原動力たるエンジンは、アクセルを幾ら踏んで出力しようとしても、タイヤが本来の機能を失って空回り、つまり滑ってしまうことで。
直進という本来行いたいことさえできなくなり、運転手を混乱に陥らせます。
私も先日、旅行先へ赴く坂道において車が滑りました。
当時の路面は雪が降っており、塩化カルシウムが撒かれた後だったのか、シャーベット化した雪が路面を覆っていました。
上り坂のカーブを進んでいく最中、突然、車体が横滑りしました。
過去にも似た経験を味わっていますが、横滑りした瞬間「マズい!」と軽くパニックになりかけてしまいました。
幸いにも後続車や対向車はおらず、横滑りを起こした際は「ハンドルを滑った方向と逆側に切る」ことを身体が覚えてくれていた為、制御不能に陥ることなく、ヒヤリハットで済みました。
しかし、これが状況次第では愛車を破損させてしまうばかりか。
他の誰かが運転する車と接触、追突事故になること可能性は十分あります。
そして、運転する自分だけでなく、相手が怪我を負ったり、最悪死亡することを考えると、とても恐ろしいことです。
最後は、運転する人間に委ねられる
最近の車はめまぐるしく進化し、追突軽減ブレーキやオートライト、横滑り防止機能と、安全装備が充実しています。
またタイヤも性能が飛躍的に向上し、滑り始めても止まってくれるまでの距離を可能な限り短くし、タイヤそのものの寿命も少しずつ伸び始めています。
そのような、車やタイヤの安全装備・性能が充実していることは、運転する人間に安心を齎してくれます。
でも、それに頼り切ったり、過信する形で車を運転することが、私は一番危険なことだと思えてなりません。
性能に頼るが為に、車を運転する為に必要な人間の判断を鈍らせ、感覚を麻痺させ、動作を遅らせることに繋がると思っているからです。
安全装備や性能は、飽く迄補助的なものであって。
安全を生み出してくれるものではありません。
幾ら安全装備が充実し、性能の良いタイヤを装備していても。
滑る時は、滑ります。滑ったら最後、止まることはできません。
絶対的な安心や安全というものがあり得ない以上。
運転する人間が、安全を意識して、運転することが全てであると、私は考えます。
最後になりますが。
車を運転される方に対して、一言だけ申し上げます。
冬の道路を、特に積雪や路面凍結が予想される場所へ移動、ドライブされる時は。
スタッドレスタイヤか、カーチェーンを必ず装備なさってください。
そうしなかったが為に、事故を作る要因とならないように。
氷国に住む私からの、勝手なお願いでした。
今回もご閲覧くださり、ありがとうございました。
それでは、また次回まで。